欧州ではキャッシュレス社会が進んだ影響で、オンラインバンキング詐欺といった、デジタル関連の犯罪が目立ち始めている。犯罪者の間では、どのような手口が“人気”なのか。
社会のキャッシュレス化が進んでいるデンマークでは2022年、銀行強盗の件数が0件になった。犯罪者は手をこまねいているわけではなく、軸足をデジタル空間での詐欺に移しているだけだ。これはデンマークに限った動きではない。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を抑えるために、各国は人々の移動を制限した。このことはデジタル決済の普及につながった。それに加え、感染拡大防止の一環として非接触型決済への移行が進み、消費者の現金離れを促した。
英国の金融業界団体UK Financeによると、COVID-19のパンデミック(世界的大流行)は現金決済の減少を加速させ、英国における支払いの在り方に大きな影響を与えた。さまざまなデジタル決済ツールが登場する中、使用率が上昇傾向にあったデビットカードの利用が減ったという。
「COVID-19のパンデミックによって非接触型決済、オンラインバンキング、デジタルウォレット(電子決済用ソフトウェア)の利用が増えた影響で、現金決済が減少している」。UK Financeは、こう述べる。
そうした中、英国では偽のWebサイトやメールを用いて、消費者に犯罪者の口座に入金させる「APP(Authorized Push Payment)詐欺」が急速に広がっている。APP詐欺は人間の脆弱(ぜいじゃく)性を利用しており、サイバー攻撃技術の知識が十分になくても実行できる可能性がある。UK Financeによると、2021年1月〜6月に英国で発生したAPP詐欺の被害額は、前年同期比で7割増の約3億5500万ポンド(約462億円)だった。
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