インターネットを遮断なんてあり得ない――それは世界の非常識?もしもインターネットが遮断されたら【第1回】

国や地域によっては、政府によるインターネット遮断が発生する。その場合、どのような影響が生じているのか。インターネット遮断の実態を探る。

2023年02月14日 10時00分 公開

関連キーワード

インフラ | ネットワーク | Webサイト


 政府が意図的にインターネットを遮断したら、どのような影響が生じるのか。VPN(仮想プライベートネットワーク)関連の情報を扱うWebサイト「Top10VPN.com」(運営:PrivacyCo)が、インターネット遮断による影響をまとめた。インターネット遮断による影響が特に大きい国はどこなのか。

「政府によるネット遮断」はむしろ世界の常識 深刻度1位は“あの国”

 それによると、2022年は23カ国で114件の大規模なインターネット遮断があり、経済損失は240億ドル(約3兆900億円)弱に上った。インターネット遮断の影響を受けた人は、2022年は全世界で約7億1000万人になり、2021年と比べて41%増えた。

 2022年、インターネット遮断による経済損失が特に大きかった国は、以下の通りだ。

  • ロシア(215億9000万ドル)
    • 2022年3月、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の「Instagram」「Facebook」「Twitter」へのアクセスを遮断した
  • イラン(7億7300万ドル)
    • 反政府抗議デモの広がりを受けてインターネットの遮断や制限を実施
  • カザフスタン(4億1070万ドル)
    • 燃料不足への抗議運動の勃発を機にインターネット遮断を実施

 Top10VPN.comは、社会統制としてのインターネット検閲やインターネット遮断に反対している。同Webサイトによると、インターネット利用が制限されれば、インターネットを使った経済活動ができない「直接的な損失」の他、制限を迂回(うかい)するためにVPNを使わざるを得なくなるといった「間接的な損失」も生じる。

 インターネット遮断を可能にする技術についてもTop10VPN.comは調査した。それによれば、インターネット遮断によく用いられる手法は以下の通り。

  • インターネット接続を停止させる「キルスイッチ」の使用
  • インターネットサービスプロバイダー(ISP)に対する、重要回路の電源オフの強制
  • 通信機器間で経路情報を交換するプロトコル「BGP」(Border Gateway Protocol)を操作し、特定のWebサイトへの接続を遮断
  • 特定のIPアドレスへの接続をブロック

 第2回は、インターネット遮断にISPがどう関わっているのかを考える。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news061.png

高齢男性はレジ待ちが苦手、女性は待たないためにアプリを活用――アイリッジ調査
実店舗を持つ企業が「アプリでどのようなユーザー体験を提供すべきか」を考えるヒントが...

news193.jpg

IASがブランドセーフティーの計測を拡張 誤報に関するレポートを追加
IASは、ブランドセーフティーと適合性の計測ソリューションを拡張し、誤報とともに広告が...

news047.png

【Googleが公式見解を発表】中古ドメインを絶対に使ってはいけない理由とは?
Googleが中古ドメインの不正利用を禁止を公式に発表しました。その理由や今後の対応につ...