Exchange Serverの脆弱性「ProxyRelay」を巡る問題 “あれ”が遅過ぎた?どうなった「Exchange Server」の“あの脆弱性”【第4回】

Microsoftの「Exchange Server」の脆弱性「ProxyRelay」。このProxyRelayへの対処について、セキュリティ専門家はMicrosoftを批判している。なぜなのか。

2023年02月24日 08時15分 公開
[Shaun NicholsTechTarget]

 2020年の12月以降、Microsoftのオンプレミス版メールサーバ「Exchange Server」にさまざまな脆弱(ぜいじゃく)性が発見された。その中の一つである「ProxyRelay」は、どのような脆弱性なのか。MicrosoftはProxyRelayのパッチ(修正プログラム)を公開したものの、セキュリティ専門家はMicrosoftの対処には問題があるとみている。

「全てのサーバに侵入可能」なProxyRelay 対処に批判の訳

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 ProxyRelayは3つの脆弱性(CVE-2021-33768、CVE-2022-21979、CVE-2021-26414)を含む。攻撃者がこれらの脆弱性を連鎖的に悪用して、Exchange Serverを攻撃する可能性がある。攻撃者がProxyRelayに加え、Microsoftのセキュリティプロトコル「NT LAN Manager」(NTLM)による認証の脆弱性も悪用すれば、ユーザー企業は同一ネットワークの全サーバへの侵入を攻撃者に許す恐れがある。

 台湾のセキュリティコンサルティング会社DEVCOREのセキュリティ研究者オレンジ・ツァイ氏は、ProxyRelayについて「Microsoftによるパッチ公開が遅かった」と指摘する。ProxyRelayの中の脆弱性の一つに対して、Microsoftがパッチを公開するまでに、脆弱性の発見から約1年を要したことを、ツァイ氏は理由に挙げる。同氏は、2020年12月にExchange Serverの脆弱性「ProxyLogon」を発見した人物だ。

 ProxyRelayがどのくらい攻撃に悪用されたかに関するデータはない。ProxyRelayは今後も攻撃に悪用される可能性があるため、Exchange Serverのユーザー企業は迅速にパッチを適用することが重要だ。


 第5回は、Exchange Serverの脆弱性を巡る最近の動向を見る。

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