Appleの「App Store」とGoogleの「Google Play」で、あるアプリケーションが見つかった、それは恋愛詐欺の一種である「CryptoRom」で攻撃者が使う詐欺アプリケーションだったという。どういうことなのか。
恋愛詐欺の一種として、ユーザーに不正な暗号資産(仮想通貨)取引をさせる「CryptoRom」がある。攻撃者はアプリケーションストアの審査を迂回(うかい)し、公正なアプリケーションに並ぶ形でCryptoRomの詐欺アプリケーションの掲載を図る。
セキュリティベンダーSophosは2023年2月、アプリケーションストアであるAppleの「App Store」とGoogleの「Google Play」で、CryptoRomの詐欺アプリケーションを発見したことを明らかにした。同社が語る、CryptoRomの恐るべき手口とは。
Sophosが発見したCryptoRomの詐欺アプリケーションは「Ace Pro」「MBM_BitScan」の2つだ。同社によると、いずれも恋愛を求めているユーザーを標的にし、感情的な誘惑によって偽の暗号資産投資をさせる。発見後、App StoreとGoogle Playからは、Ace ProとMBM_BitScanは削除されたという。
「CryptoRomの詐欺アプリケーションのようなマルウェアが、AppleとGoogleの厳しいセキュリティ審査を通過するのは、非常に難しいことだ」。Sophosで脅威分析を担当する上級研究員のジャガデシュ・チャンドライア氏は、こう説明する。
攻撃者はまず標的のユーザーのデバイスに、マルウェアを動作可能にするための構成プロファイル(設定ファイル)をインストールしてもらう必要がある。そのためCryptoRomでは、攻撃者は「高度なソーシャルエンジニアリング(人の心理を巧みに利用して、意図通りの行動をさせること)を駆使している可能性がある」とチャンドライア氏は語る。
「大半のユーザーはApp StoreやGoogle Playを信頼しており、そこに載っているアプリケーションのセキュリティリスクを疑わない」とチャンドライア氏は指摘。CryptoRomの攻撃者は「ユーザーを簡単にだますことができた」とみる。
第2回はAce ProとMBM_BitScanが、どのようにAppleやGoogleのセキュリティ審査を迂回したかの詳細を見る。
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