厳格審査のApp Storeで「恋愛詐欺アプリ」が見つかってしまう その正体とは?AppleとGoogleもだました「CryptoRom」の手口【第1回】

Appleの「App Store」とGoogleの「Google Play」で、あるアプリケーションが見つかった、それは恋愛詐欺の一種である「CryptoRom」で攻撃者が使う詐欺アプリケーションだったという。どういうことなのか。

2023年04月05日 10時00分 公開
[Alex ScroxtonTechTarget]

関連キーワード

Apple | Google | サイバー攻撃


 恋愛詐欺の一種として、ユーザーに不正な暗号資産(仮想通貨)取引をさせる「CryptoRom」がある。攻撃者はアプリケーションストアの審査を迂回(うかい)し、公正なアプリケーションに並ぶ形でCryptoRomの詐欺アプリケーションの掲載を図る。

 セキュリティベンダーSophosは2023年2月、アプリケーションストアであるAppleの「App Store」とGoogleの「Google Play」で、CryptoRomの詐欺アプリケーションを発見したことを明らかにした。同社が語る、CryptoRomの恐るべき手口とは。

厳格審査のApp Storeでも見つかった不正アプリ 何が危険?

 Sophosが発見したCryptoRomの詐欺アプリケーションは「Ace Pro」「MBM_BitScan」の2つだ。同社によると、いずれも恋愛を求めているユーザーを標的にし、感情的な誘惑によって偽の暗号資産投資をさせる。発見後、App StoreとGoogle Playからは、Ace ProとMBM_BitScanは削除されたという。

 「CryptoRomの詐欺アプリケーションのようなマルウェアが、AppleとGoogleの厳しいセキュリティ審査を通過するのは、非常に難しいことだ」。Sophosで脅威分析を担当する上級研究員のジャガデシュ・チャンドライア氏は、こう説明する。

 攻撃者はまず標的のユーザーのデバイスに、マルウェアを動作可能にするための構成プロファイル(設定ファイル)をインストールしてもらう必要がある。そのためCryptoRomでは、攻撃者は「高度なソーシャルエンジニアリング(人の心理を巧みに利用して、意図通りの行動をさせること)を駆使している可能性がある」とチャンドライア氏は語る。

 「大半のユーザーはApp StoreやGoogle Playを信頼しており、そこに載っているアプリケーションのセキュリティリスクを疑わない」とチャンドライア氏は指摘。CryptoRomの攻撃者は「ユーザーを簡単にだますことができた」とみる。


 第2回はAce ProとMBM_BitScanが、どのようにAppleやGoogleのセキュリティ審査を迂回したかの詳細を見る。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news069.jpg

テレビ派? 有料動画配信派? おすすめの作品は? アニメに関する調査(2024年)
クロス・マーケティングは、国民的メジャーコンテンツに成長したアニメの視聴状況につい...

news106.jpg

広告収入稼ぎの低品質サイト「MFA」を排除するため、マーケターにできることとは?
MFA(Made For Advertising)サイトの本質的な問題点とは何か。マーケターはMFA排除のた...

news036.jpg

“なんちゃってマック”で「チキンビッグマック」体験etc. 米マクドナルドのマルチチャネル過ぎるキャンペーン
McDonald’sは米国での「チキンビッグマック」新発売に当たり、若年層とのつながりを強化...