アクセンチュアが語る「生成AI」の他「基盤モデル」などの新技術が招く未来生成AI(ジェネレーティブAI)とビジネス【前編】

生成AIが台頭する中で、世界の技術トレンドは今後どうなるのか。Accentureが2023年3月に公開した、先端技術に関するレポートを基に整理する。

2023年06月12日 07時15分 公開
[Karl FlindersTechTarget]

 今後10年ほどで現実空間とデジタル空間との距離はなくなる――。ITコンサルティング企業Accenture(アクセンチュア)が2023年3月に公開した、先端技術に関する調査レポート「Accenture Technology Vision 2023」はそうした見通しを示した。

 変化を加速させるのは、テキストや画像などを自動生成するAI(人工知能)技術「ジェネレーティブAI」(生成AI)の導入が進むことだ。企業が生成AIの活用を進める上では、何が重要になるのか。

「生成AI」や「基盤モデル」で進むビジネスの変革

 Accenture Technology Vision 2023はレポートの題目を「When Atoms Meet Bits: The Foundations of Our New Reality」として、全世界の企業の経営者層約5000人を対象に実施した調査に基づいてトレンドをまとめた。同レポートによると、回答者の96%が「今後10年以内にデジタル世界と現実世界の融合がビジネスを変革する」と考えていることが明らかになった。

 今後のトレンドを語る上での重要な技術の一つとしてレポートが挙げたのが、生成AIだ。同レポートによると、98%のシニアエクゼクティブが、「重要な創造性や革新性はAIによってもたらされる」と考えているという。

 Accentureでテクノロジー部門のグループチーフエグゼクティブを務めるポール・ドーアティ氏は、企業が生成AIを活用する際に考慮すべき点について次のように説明する。「自社のニーズに沿った生成AIの活用を考えた場合、必要なのは、データと人材に費用をかけることと、『ファウンデーションモデル』(基盤モデル)の構築に投資することだ」。生成AIの活用に向けて、CIO(最高情報責任者)は「今すぐ取り組みを始めなければならない」とドーアティ氏は強調する。

 ドーアティ氏が指摘する基盤モデルとは、多様なデータから事前学習することで、さまざまな用途に活用できるようになる汎用(はんよう)性を獲得したAIモデルを指す。2021年にスタンフォード大学(Stanford University)のAI研究ワーキンググループが命名した。

 企業による生成AIの活用を支援するため、Accentureは全社横断チーム「Generative AI and Large Language Model(LLM)Center of Excellence」を創設した。その他、同様の取り組みの一環で、生成AIやその基になる「大規模言語モデル」(LLM)に関する調査レポート「A new era of generative AI for everyone」を公開した。

 Accentureは、生成AIに加えて、デジタルアイデンティティーやデータの透明性、科学技術とITの融合などを、今後のトレンドにおける重要な要素として取り上げている。これらが組み合わさることで、現実とデジタルが融合した「共有現実」(Shared Reality)が生み出されるという。


 後編は、企業は生成AIを使うことでどのようなメリットが期待できるのか、どのように使えばよいのかなどを探る。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

隴�スー騾ケツ€郢晏ク厥。郢ァ�、郢晏現�ス郢晢スシ郢昜サ」�ス

製品資料 グーグル・クラウド・ジャパン合同会社

約80%の企業でAIが定着していない? その理由と成功させるためのポイントとは

生成AIを活用して業務や顧客体験の再構築を進める動きが活性化しているが、その多くが、PoCやラボ環境の段階にとどまっている。なぜなら、生成AIの可能性を最大限に引き出すための、インフラのパフォーマンスが不十分だからだ。

市場調査・トレンド グーグル・クラウド・ジャパン合同会社

ソフトウェア開発ライフサイクルにおける、生成AI活用のポイントを考察する

昨今のソフトウェア開発では、AIコーディングアシスタントの活用が主流になっている。しかし、最適なコーディングアシストツールは、開発者や企業によって異なるという。導入の際は、どのようなポイントに注意すればよいのか。

製品資料 グーグル・クラウド・ジャパン合同会社

データベースをモダナイズし、生成AIを最大限に活用する方法とは?

生成AIの活用にはデータベースが重要となるが、従来のデータベースは最新テクノロジーに対応できないなどの課題がある。本資料では、データベースをモダナイズし、生成AIを用いてビジネスイノベーションを生み出すための方法を探る。

製品資料 グーグル・クラウド・ジャパン合同会社

検索体験と結果の質をどう高める? ユーザーに喜ばれる検索体験を実現する方法

ビジネスにおいて、検索体験およびその結果の質の向上が重要なテーマとなっている。顧客はもちろん、自社の従業員に対しても、実用的な答えをより迅速に、手間なく入手できる環境の整備が求められている。

事例 グーグル・クラウド・ジャパン合同会社

検索の効率化からデータ活用まで、生成AIの業務組み込み事例5選

登場以来ビジネスへの活用方法が模索されてきた生成AI。近年では業務組み込みにおける具体的な成功例が数多く報告されている。本資料では、5件の生成AI活用事例を交えて、業務に組み込む上での具体的なアプローチを解説する。

郢晏生ホヲ郢敖€郢晢スシ郢ァ�ウ郢晢スウ郢晢ソスホヲ郢晢ソスPR

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

アクセンチュアが語る「生成AI」の他「基盤モデル」などの新技術が招く未来:生成AI(ジェネレーティブAI)とビジネス【前編】 - TechTargetジャパン エンタープライズAI 隴�スー騾ケツ€髫ェ蛟�スコ�ス

TechTarget郢ァ�ク郢晢ス」郢昜サ」ホヲ 隴�スー騾ケツ€髫ェ蛟�スコ�ス

ITmedia マーケティング新着記事

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。