ユーロポール(欧州刑事警察機構)は、「ChatGPT」が基礎にしているような「LLM」を犯罪者が悪用した場合の危険性について、法執行機関に勧告した。どのようなリスクが考えられるのか。
ユーロポール(欧州刑事警察機構)のイノベーションラボは、2023年3月に「ChatGPT - the impact of Large Language Models on Law Enforcement」という報告書を公開。大規模言語モデル(LLM)が犯罪発生状況に与えるプラスとマイナスの影響について法執行機関に勧告した。
この報告書は、サイバー犯罪者に限らず犯罪者全般がLLMをどう悪用するのか、将来LLMは捜査当局にどう役立つのかといった可能性を探るために、さまざまな研究や専門家の知見をまとめている。LLMが悪用されることで起こり得るリスクとはどのようなものか。
ユーロポールはこの報告書の目的について、「LLMが悪用される可能性についての認識を高め、AI(人工知能)ベンダーが安全性を高める施策に取り組むことを支援し、安全で信頼できるAIシステムの開発を促進すること」と説明する。
本報告書では、LLMのようなAI技術が犯罪者に悪用される可能性について悲観的な見解を示し、以下3つの懸念事項を指摘した。
中編はユーロポールが報告書で指摘した「LLMの犯罪利用に備えて法執行機関が考慮すべきこと」について解説する。
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