デバイス接続だけではない「Wi-Fi」の“驚きの活用法”とは地方の情報格差を解消する「Wi-Fi」【後編】

インターネット接続が不十分な地域における「Wi-Fi」活用の可能性に関心が高まっている。その理由と、実際の活用事例を紹介する。

2023年06月13日 05時15分 公開
[Joe O’HalloranTechTarget]

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 「Wi-Fiを活用することで、インターネット接続が不十分もしくは全く利用できない地域に住む約10億人の人々に、ブロードバンドサービスの提供範囲を拡張できる可能性がある」。こう語るのは、無線LANの業界団体Wireless Broadband Alliance(WBA)のCEOティアゴ・ロドリゲス氏だ。WBAがWi-Fiをそう位置付ける背景には、何があるのか。

地方で広がる需要に「Wi-Fi」を有効活用する例とは

 WBAは2022年11月に公開した報告書「Rural Wi-Fi Connectivity: Challenges, Use Cases and Case Studies」の中で、「Wi-Fiは地域のデジタルデバイド(情報格差)を解消する上で理想的な手段だ」と述べている。Wi-Fiの機能はほぼ全てのスマートフォンやタブレット、ノートPCといったデバイスに組み込まれているため、普及させやすいからだ。

 報告書の共同執筆者で、インドの政府機関Centre For Development Of Telematics(C-DOT)のエグゼクティブディレクターを務めるラジクマール・ウパデアーエ氏は、データの需要は世界中で高まっていると指摘する。背景にあるのは、手頃なデバイスや高品質な動画・音声などのコンテンツ、遠隔教育や遠隔医療などの普及だ。「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により社会全体のデジタル化が進んだ影響で、地方でもデータを利用する機会は広がりつつある」とウパデアーエ氏は述べる。

 インドでは、Wi-Fiを通信の中継網である「バックホール」に使用する事例がある。農村自治体であるグラム・パンチャーヤットから近隣の村までのインターネット接続を拡張することがその一例だ。Wi-Fiを使用して、免許不要の周波数帯域でポイントツーポイント(2拠点間)やマルチポイント(多拠点間)の接続を確立する。ウパデアーエ氏は「光ファイバーの接続を近隣の村まで拡張するための手頃な手段になる」と説明する。

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