Mitiga Securityは「Google Workspace」の一部エンドユーザーについて、「Googleドライブ」でのログを記録できない可能性を指摘した。そもそもログを記録できないと、どのような問題があるのか。
オフィススイート「Google Workspace」(旧「G Suite」)の主要エディションには、Googleのオンラインストレージサービス「Googleドライブ」のログ管理機能が備わっている。クラウドセキュリティベンダーMitiga Securityは検証の結果、この機能では一部のエンドユーザーのログを記録できない場合があると指摘した。この事象を攻撃者が悪用すると、何が起こる可能性があるのか。
Mitiga Securityのセキュリティ研究員、アリエル・スザーフ氏とオール・アスピール氏は、Google WorkspaceのGoogleドライブに関するログ管理機能を検証。その結果、Google Workspaceの有償エディションのライセンスを正しく適用できていないエンドユーザーについて、Googleドライブでの行動のログを記録できないことを発見した。ログを記録できなかったのは、GoogleのIDaaS(Identity as a Service)「Cloud Identity」の無償エディション「Free Edition」のライセンスで、Googleドライブを利用するエンドユーザーの行動だったという。
スザーフ氏とアスピール氏は2023年5月、Mitiga Security公式ブログにエントリ(投稿)を公開。攻撃者がこの事象を悪用することで起こり得ることの例として、Googleドライブのアカウント侵害を取り上げた。攻撃者は管理者権限を取得し、痕跡を残さずにGoogleドライブのファイルをダウンロードできる可能性があると両氏は説明する。
アスピール氏は、Googleドライブのログ管理機能に見つかったこの事象について「驚いている」と話す。攻撃者がこの事象を悪用することで、Google Workspaceのユーザー企業では「気付かないうちにGoogleドライブからデータが流出する恐れがある」と同氏は説明する。
Cloud IdentityのFree Editionについて、そもそも「ログ管理機能を求める組織向けには設計していない」と指摘し、Mitiga Securityの報告内容に反論している。第3回は、Mitiga Securityからの報告を受け、Googleはどう動いたのかを取り上げる。
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