「Googleドライブのログ」を記録できないと不安になるのはなぜ?Google Workspaceのセキュリティに関する専門家とGoogleの見解【第2回】

Mitiga Securityは「Google Workspace」の一部エンドユーザーについて、「Googleドライブ」でのログを記録できない可能性を指摘した。そもそもログを記録できないと、どのような問題があるのか。

2023年08月02日 06時00分 公開
[Arielle WaldmanTechTarget]

 オフィススイート「Google Workspace」(旧「G Suite」)の主要エディションには、Googleのオンラインストレージサービス「Googleドライブ」のログ管理機能が備わっている。クラウドセキュリティベンダーMitiga Securityは検証の結果、この機能では一部のエンドユーザーのログを記録できない場合があると指摘した。この事象を攻撃者が悪用すると、何が起こる可能性があるのか。

「Googleドライブのログを記録できないと駄目」なのはなぜ?

 Mitiga Securityのセキュリティ研究員、アリエル・スザーフ氏とオール・アスピール氏は、Google WorkspaceのGoogleドライブに関するログ管理機能を検証。その結果、Google Workspaceの有償エディションのライセンスを正しく適用できていないエンドユーザーについて、Googleドライブでの行動のログを記録できないことを発見した。ログを記録できなかったのは、GoogleのIDaaS(Identity as a Service)「Cloud Identity」の無償エディション「Free Edition」のライセンスで、Googleドライブを利用するエンドユーザーの行動だったという。

 スザーフ氏とアスピール氏は2023年5月、Mitiga Security公式ブログにエントリ(投稿)を公開。攻撃者がこの事象を悪用することで起こり得ることの例として、Googleドライブのアカウント侵害を取り上げた。攻撃者は管理者権限を取得し、痕跡を残さずにGoogleドライブのファイルをダウンロードできる可能性があると両氏は説明する。

 アスピール氏は、Googleドライブのログ管理機能に見つかったこの事象について「驚いている」と話す。攻撃者がこの事象を悪用することで、Google Workspaceのユーザー企業では「気付かないうちにGoogleドライブからデータが流出する恐れがある」と同氏は説明する。


 Cloud IdentityのFree Editionについて、そもそも「ログ管理機能を求める組織向けには設計していない」と指摘し、Mitiga Securityの報告内容に反論している。第3回は、Mitiga Securityからの報告を受け、Googleはどう動いたのかを取り上げる。

関連キーワード

Google | サイバー攻撃 | セキュリティ


TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news088.png

企業のSNS活用実態 最も使われているのはX? Instagram?
企業はSNSをどのように活用しているのか。調査PRサービスを提供するPRIZMAが、最も使われ...

news055.jpg

日本のモバイルアプリトレンド2025 クロスデバイス戦略とMMMの重要性とは?
急速に進化するモバイルアプリ市場においてAIと機械学習の活用が本格化し、マーケティン...

news140.jpg

中国政府がTikTok売却先としてイーロン・マスク氏に白羽の矢? うわさの真相は……
米国で禁止か売却か――。判断が迫られるTikTokに驚きの選択肢が浮上した。売却先の一つ...