CIOの間ではAIブームに対する疑念と不満が高まっている。CEOが抱く生成AIへのイメージとCIOのそれが大きく異なることは、何を意味するのか。
IT 業界のアナリスト集団である当社Freeform Dynamicsは、CIO(最高情報責任者)とその他のITリーダーを対象に調査を実施した。さまざまなベンダーが繰り広げているAI(人工知能)技術関連の宣伝に対する意識を調べた結果、CIOの間ではAIブームに対する疑念と不満が高まっていることが分かってきた。
さまざまなベンダーがうたっている「AI機能」について、「誇張されたものだと分かることがよくある」と答えた回答者は、88%に達した。「真にAI技術によって実現した仕組みに出合うことがある」と答えたCIOは、わずか20%だった。
一方で、企業のCEOはAI技術を「業界の破壊者」だと捉えていることが珍しくない。こうしたCEOにとって、AI技術は既存のビジネスモデルを覆し、生産性を高め、余剰人員を生む存在なのだ。この状況をどう受け止めればよいのか。
まず考えられるのは、“AIウォッシング”が横行していることだ。筆者の同僚の言葉を借りると、ベンダー各社の宣伝は良く言って疑わしく、悪く言えば故意に誤解を与えている。問題は、ほとんどのITリーダーがそれを十分に認識しているのに対して、門外漢であるCEOにはそれが分からない場合があることだ。
企業のCEOは、テキストや画像を自動的に生成するAI技術「生成AI」(ジェネレーティブAI)に関する誇大宣伝を真に受け過ぎている。生成AIを使ったチャットbotなどのAIツールは単なるツールに過ぎないことや、そこから価値を得るには専門のトレーニングや知識が必要であることに気付いていないCEOもいる。誇大宣伝とFOMO(Fear Of Missing Out:取り残される不安や恐怖)が不適切な投資判断を促し、失敗を招くリスクがある。
AI技術は非常に幅広い分野であることをCEOが認識していない可能性もある。生成AI以外にも、プロセスとワークフローの自動化といったように、人員削減を可能にする技術もあれば、意思決定とその原因の説明を支援する「因果関係AI」など新しい分野もある。AI技術は、画像や映像から情報を取り出すコンピュータビジョンや音声認識、自動運転など、さまざまな分野で重要だ。
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