セキュアなアプリケーション開発に求められる「4つの指標」とは?セキュアコーディングの極意【第6回】

セキュリティを意識したアプリケーション開発プロジェクトを進めるには、何を重視すればよいのか。プロジェクトを評価するための4つの指標と、リスク要因として懸念すべき事項を紹介する。

2023年08月24日 05時15分 公開
[Cliff SaranTechTarget]

 激化するサイバー攻撃に備えるために、アプリケーション開発プロジェクトのセキュリティ強化を検討するIT意思決定者は、何に取り組むべきなのか。

アプリケーション開発プロジェクトの現状が分かる4つの指標

 セキュリティとガバナンスを推進する非営利団体ISACAの取り組み「Emerging Trends Working Group」に参加するエド・モイル氏は、プロジェクトにおける4つの指標を評価することを勧める。以下の通りだ。

会員登録(無料)が必要です
  1. 成熟度
    • 従業員が離職しても欠員を補充でき、結果の一貫性を保つことができるかどうかの指標。
  2. 透明性
    • プロジェクトが利用するライブラリ(プログラム部品群)のサプライチェーンの透明性を確保し、エンドユーザーにもその透明性を提供できるかどうかの指標。
  3. コンプライアンス
    • プロプライエタリかオープンソースかを問わず、開発中のアプリケーションが使うライブラリのライセンスがコンプライアンスを順守しているかどうかの指標。
  4. 簡潔性
    • アプリケーションが簡単に理解、評価できる設計かどうかの指標。

 「これら4つの指標は、アプリケーションセキュリティに影響を及ぼす可能性があり、実際に影響を及ぼす考慮事項の“氷山の一角”に過ぎない」とモイル氏は話す。アプリケーションの設計、開発、テスト、配備、保守、サポート、サポート終了といった一連の過程においてリスクをもたらし得る要素は以下の通りだ。

  • 目的との適合性
  • 設計の厳密性
  • 開発ツールやライブラリ(プログラム部品群)のサポート範囲
  • テスト範囲
  • ソースコードの品質
  • 市場投入までの時間

 アプリケーションのセキュリティは、開発チームや運用チームの考え方に即している必要がある。自動テストツールやAI(人工知能)技術を活用すれば、アプリケーションのバグは特定可能だ。だが新機能の追加やデータ配信、API(アプリケーションプログラミングインタフェース)の導入といった要素がセキュリティに与える影響も、率先して考慮しなければならない。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 サイボウズ株式会社

「ERP×ノーコードツール」のアプローチを推進するためのポイントとは?

DXが進み、レガシーシステムからの脱却が喫緊の課題となっている今。「ERP×ノーコードツール」のアプローチで基幹システムの刷新に取り組む企業が増えている。そのアプローチを推進するに当たってのポイントを解説する。

事例 サイボウズ株式会社

ローコード/ノーコード開発ツールで実現する、変化に強い組織の作り方

DXの本質は、デジタル技術を駆使して変化に適応する能力を身につけることにある。その手段の1つとして注目を集めているのが、ローコード/ノーコード開発ツールだ。京王グループなどの事例とともに、その特徴やメリットを紹介する。

事例 サイボウズ株式会社

ノーコードツールでDX人材を育成、京セラや日本航空などの事例に学ぶ効果の実態

DX人材の重要性が高まる中、ノーコードツールの活用によって業務改革と人材育成を両立しようとする動きが活発化している。年間約780時間の工数削減を実現した京セラをはじめとする5社の事例を基に、その実態を探る。

事例 アステリア株式会社

ものづくり現場で「足かせ」のアナログ業務、9社の事例に学ぶ業務改善の秘訣

急速に進化するデジタル技術は、製造業などのものづくりの現場にもさまざまな恩恵をもたらしている。しかし、設備点検業務や棚卸業務などの立ち仕事や移動が多い現場では、いまだにアナログ業務が残存し、効率化の妨げとなっているという。

事例 アステリア株式会社

工場・倉庫の「隙間業務」をデジタル化、11社の事例に学ぶ現場DX

あらゆる業界でDXの重要性が増しているが、工場や倉庫の中にはデジタル化が後回しにされている隙間業務が多数ある。その理由を明らかにした上で、それらの業務をモバイルアプリでデジタル化し、現場DXを推進する9社の事例を紹介する。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。