東南アジアの銀行大手DBS Bankは、社内で開発したポータルサイトを用いて開発の生産性向上につなげる。同行が開発プロセスを改善するために実践する方法とは。
シンガポールに拠点を構える東南アジアの銀行大手DBS Bankは、システム開発者向けのポータルサイト「DBS Technology Marketplace」を開発した。これを活用することで、同行は開発業務の自動化や効率化を図る。同ポータルサイトを使い、同行ではどのような開発が可能になったのか。
2023年5月時点で、DBS Technology Marketplaceは157個の製品・サービスや、36個のシステムなどを提供している。2020年から2022年にかけて、同ポータルサイトの1日当たりの延べ利用者数は1375人から1790人に増えた他、製品・サービス数やシステム数はほぼ倍増した。
「アジャイル(迅速なサービス提供を目指す開発手法)やDevOps(開発と運用の融合)といった手法を導入していなければ、迅速に新サービスを提供することは不可能だ」と、DBS Bankはコメントする。
DBS Technology Marketplaceの開発チームは、ポータルサイトの主要構成要素を担当するチームと、ポータルサイトに搭載するツール開発を担当するチームの2チーム体制だ。スプリント(開発プロセスを回すための短く区切った期間)は2週間周期で設定。各周期の終了時に、社内で合意を得た機能をリリースする。運用チームは新しい機能を使用可能になり、ユーザーや関係者は新機能に関する情報を受け取る。
他にもDBS Bankの開発者は、各機能が小規模サービスとして独立する「マイクロサービス」を使用することで、特定の業務領域に注力できているという。これによりサービスの再利用性と標準化が進み、開発者が各機能において個別にソースコードを記述する必要性が低下した。
DBS Bankでクラウドエンジニアリングとサービスのマネージングディレクターを務めるコー・ジット・スン氏は、「DBS Technology Marketplaceで業務を自動化する前は、サーバのプロビジョニング(配備)だけで40週間近くかかっていた」と話す。特に大きかったのは自動化を進めて作業効率を高めたことだ。「従来よりも短時間でアプリケーションの実装が可能になり、生産性や市場投入速度が向上した」(スン氏)
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