システム開発で「あの工程を大幅削減」した銀行の先進事例は何がすごい?銀行のイノベーションとシステム開発事例【中編】

東南アジアの銀行大手DBS Bankは、社内で開発したポータルサイトを用いて開発業務の生産性向上に取り組む。このポータルサイトは、どのような点が高く評価されているのか。

2023年07月06日 05時15分 公開
[Aaron TanTechTarget]

関連キーワード

開発ツール | 金融 | 統合開発ツール


 シンガポールに拠点を構える東南アジアの銀行大手DBS Bankは、同行のDevOpsチームが社内開発したポータルサイト「DBS Technology Marketplace」を活用し、開発プロセスの効率化に取り組んでいる。米TechTagetが実施したコンテスト「Computer Weekly Innovation Awards APAC 2023」で、このポータルサイトは「年間最優秀金融サービスプロジェクト」に選出された。同行の業務はどう変わったのか。

「PaC」を実装――DBS Bankのポータルサイトは何がすごい?

会員登録(無料)が必要です

 DBS Technology Marketplaceが評価された背景には、同ポータルサイトがDBS Bankに与えた影響の大きさがある。DBS Bankは同ポータルサイトを使用することで、インフラのプロビジョニング(配備)にかかる時間を従来の93%、アプリケーションのデプロイ(利用可能な状態にすること)にかかる時間を66%削減した。同行の開発者とエンジニアは、人為的ミスの削減やペーパーレス化を進め、従来よりも短い期間で新機能を実装できるようになった。

 「Policy-as-Code」(PaC:コードによるポリシー管理)という手法を採用したことが、DBS Technology Marketplaceの特徴の一つだ。PaCは、「役割ベースのアクセス制御」(RBAC:Role-Based Access Control)による制御機能を用いて、ユーザーによるシステム変更が経営方針や規制政策に違反しないように制御する。これにより、金融業界が定める規制要件をDBS Bankが順守できるよう支援する。

 他にもDBS Technology Marketplaceは、機器導入から使用停止に至るまでのインフラのライフサイクルを追跡することにも活用可能だ。DBS Bankはインフラのライフサイクルを追跡することで、ITサービスやハードウェア、ソフトウェアのコストを、それらを使用する組織に関連付ける会計戦略を実践している。


 後編は、DBS Bankが用いる開発手法について解説する。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

事例 サイボウズ株式会社

顧客・案件情報の管理でよくある課題、属人化や二重管理を防ぐための方法とは?

顧客・案件情報の管理は属人化や二重管理が起こりやすく、機会損失につながることも多い。こうした課題の解決策として注目されているのが、ノーコードで業務アプリを作成できるクラウドサービスだ。事例を交えてその効果を紹介する。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

「SRE」と「DevOps」の違いは? 業務分担と連携のヒント

迅速な開発とセキュリティ確保の両立は、アプリケーションの運用管理で重要だ。そのための手法である「SRE」「DevOps」はそれぞれどう異なり、どの場面で連携すべきなのか。

製品資料 ServiceNow Japan合同会社

生成AIで「ローコード開発」を強化するための4つの方法

ビジネスに生成AIを利用するのが当たり前になりつつある中、ローコード開発への活用を模索している組織も少なくない。開発者不足の解消や開発コストの削減など、さまざまな問題を解消するために、生成AIをどう活用すればよいのか。

製品資料 ServiceNow Japan合同会社

「ローコード開発」実践のヒント:AI主導のイノベーションに向けた4つの戦略

急速に変化する顧客ニーズに応えるような適切な製品を継続的に提供するためには、より多くのアプリを生み出す必要があるが、そのための開発者が不足している。そこで注目されているのが、生成AIやローコード開発プラットフォームだ。

事例 Twilio Japan合同会社

恋活マッチングアプリの“安心”を自社開発で確保した、タップルの取り組み

恋活マッチングアプリを運営するタップルは、自社開発のビデオチャットをアプリに搭載することで、顧客が安心してサービスを利用できる仕組みを構築している。スピード感やカスタマイズ性を重視して開発した同社の取り組みを紹介する。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news103.jpg

「AR」でMetaに勝てる? SnapのCEO、エヴァン・シュピーゲル氏はこう語った
SnapのCEO、エヴァン・シュピーゲル氏が最近、動画インタビューに立て続けに登場している...

news085.jpg

SEOに欠かせない「インデックス」について徹底解説【初心者必見】
今回は、SEOにおける「インデックス」について、わかりやすく解説します。

news090.jpg

マーケ担当者はなぜ「広報」を誤解するのか?
「マーケティング」と「広報」活動は似て非なるもの。この連載では2つの業務を兼務する人...