東南アジアの銀行大手DBS Bankは、社内で開発したポータルサイトを用いて開発業務の生産性向上に取り組む。このポータルサイトは、どのような点が高く評価されているのか。
シンガポールに拠点を構える東南アジアの銀行大手DBS Bankは、同行のDevOpsチームが社内開発したポータルサイト「DBS Technology Marketplace」を活用し、開発プロセスの効率化に取り組んでいる。米TechTagetが実施したコンテスト「Computer Weekly Innovation Awards APAC 2023」で、このポータルサイトは「年間最優秀金融サービスプロジェクト」に選出された。同行の業務はどう変わったのか。
DBS Technology Marketplaceが評価された背景には、同ポータルサイトがDBS Bankに与えた影響の大きさがある。DBS Bankは同ポータルサイトを使用することで、インフラのプロビジョニング(配備)にかかる時間を従来の93%、アプリケーションのデプロイ(利用可能な状態にすること)にかかる時間を66%削減した。同行の開発者とエンジニアは、人為的ミスの削減やペーパーレス化を進め、従来よりも短い期間で新機能を実装できるようになった。
「Policy-as-Code」(PaC:コードによるポリシー管理)という手法を採用したことが、DBS Technology Marketplaceの特徴の一つだ。PaCは、「役割ベースのアクセス制御」(RBAC:Role-Based Access Control)による制御機能を用いて、ユーザーによるシステム変更が経営方針や規制政策に違反しないように制御する。これにより、金融業界が定める規制要件をDBS Bankが順守できるよう支援する。
他にもDBS Technology Marketplaceは、機器導入から使用停止に至るまでのインフラのライフサイクルを追跡することにも活用可能だ。DBS Bankはインフラのライフサイクルを追跡することで、ITサービスやハードウェア、ソフトウェアのコストを、それらを使用する組織に関連付ける会計戦略を実践している。
後編は、DBS Bankが用いる開発手法について解説する。
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