「テレワークできないなら転職」というITエンジニアの切実な理由ITエンジニアが転職を決意する理由【第2回】

IT分野の従業員にとって「テレワークができるか否か」という点は、転職の動機にどの程度の影響があるのか。2023年に米TechTargetと英Computer Weeklyが実施した年次調査を基に考察する。

2023年08月22日 05時00分 公開
[Clare McDonaldTechTarget]

関連キーワード

人事


 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)によって労働者がテレワークを余儀なくされたとき、オフィスでなくても生産性は維持でき、しかもワークライフバランスを改善できるということに誰もが気付き始めた。その結果、ワークライフバランスの重要度がますます高まっている。

 米TechTargetと英Computer Weeklyは、英国のIT労働者(全ての役職、階級を含む)を対象に、IT業界の給与に関する年次調査を実施している。その結果を基に、IT分野の従業員が転職を決意する要因のうち「テレワークを選べるか否か」がどの程度の重要度を持っているのかを考察する。

従業員がテレワークを望む背景、切実な経済要因

 2022年の年次調査では、回答者の約40%は働く場所や時間を自由に選べる体制になっており、35%は「2023年もその労働環境は変わらない」と答えていた。

 回答者の約半数は「労働環境の重要性は2022年よりも高まっている」と考えている。労働環境が2022年以降に変化した労働者もいる。回答者の28%は週に数日テレワークをしており、14%はフルタイムでテレワークをしている。

 特に人気があるのは「週に2日出勤し、3日はテレワークする働き方」(39%)だ。次いで「週に4日テレワークする働き方」(37%)も人気がある。フルタイムでのテレワークを好む回答者は3%だった。

 従業員にその会社で働き続けたいと思ってもらうには「従業員自身が働き方を自由に選べるかどうか」が大きな役割を果たす可能性がある。COVID-19のパンデミックによって、出勤しなくても生産性は維持できることに誰もが気付いたことがその要因だ。

 実際のところ、2023年の年次調査によれば、回答者の45%弱は現在の企業にとどまる意向である一方で、転職に前向きな回答者は37%、別の企業への転職を積極的に進めている回答者は15%に上る。

 ITサービス管理ツールベンダーのServiceNowでEMEA(欧州、中東、アフリカ)地域担当のシニア人事ディレクターを務めるケイティ・ホワイトハウス氏によると、良質な従業員エクスペリエンス(業務における従業員の体験や経験)を生み出す上で、給与は重要な要素になる。同社は独自調査によってこの結論に至ったという。

 従業員が転職を決意する要因には、生活費に対する危機感や、高いインフレがある、とホワイトハウス氏は考察する。「経済状況を考えれば、給与を理由に従業員が転職を考えても不思議ではない」と同氏は強調し、こう続ける。「だからこそ、これらの経済的要因は雇用主にとっても無視できない分野だ。この点を考慮に入れ、テレワーク制度を取り入れて従業員が働きやすい仕組みを構築できれば、出張や育児にまつわるコストが抑えられ、従業員の経済的不安の一部を緩和できる可能性がある」


 第3回は、スキルアップとリスキリングのための施策が、従業員の離職抑制につながる理由について考察する。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

隴�スー騾ケツ€郢晏ク厥。郢ァ�、郢晏現�ス郢晢スシ郢昜サ」�ス

製品資料 株式会社インフォマート

国税OBが解説、令和7年度の税制改正をにらんだ「経理業務DX」の要点

令和7年度の与党税制改正大綱では最重要課題として、成長対策が強調された。特に、所得税や法人税などに関する6つのトピックスも見逃せない。これらを基に、企業が経理業務DXに取り組む上で押さえておきたいポイントについて解説する。

市場調査・トレンド 株式会社インフォマート

調査レポート:インボイス制度開始でどう変わった? 請求書業務の現状と課題

インボイス制度開始後の業務変化についてアンケート調査を実施した。結果から、請求書業務の電子化が進んだ一方、多くの現場で業務負荷の低減を実感できていない現状が見えてきた。現場が直面する具体的な課題と、その解決策を紹介する。

製品資料 株式会社インフォマート

紙、PDF、デジタルのメリット・デメリットを比較:請求業務を楽にするのは?

請求業務において、紙やPDFで発行された請求書を「AI-OCR」を用いてデータ化し取り込む企業も多いが、請求データを最初からデジタルで処理する「DtoD」のシステムを活用する方法もある。本資料では3つの方法を徹底比較する。

事例 株式会社インフォマート

JR東日本など3社の事例に学ぶ、請求業務“全体”をデジタル化する方法

ペーパーレス化や業務効率化の一環で請求書のデジタル化が進む中、請求書そのものだけでなく請求業務全体をデジタル化する動きが加速している。JR東日本、大創産業、三菱地所の発行・受取業務における改革を基に、進め方や効果を探る。

比較資料 アイティメディア広告企画

ユーザーレビューに見る、自社に適したタレントマネジメントシステムの選び方

社内の人材情報を効果的に活用するための方法として、タレントマネジメントシステムの導入が広がっている。しかし、さまざまな製品が登場する中で、自社に適した製品をどう選べばよいのか。そのヒントを紹介する。

郢晏生ホヲ郢敖€郢晢スシ郢ァ�ウ郢晢スウ郢晢ソスホヲ郢晢ソスPR

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

「テレワークできないなら転職」というITエンジニアの切実な理由:ITエンジニアが転職を決意する理由【第2回】 - TechTargetジャパン ERP 隴�スー騾ケツ€髫ェ蛟�スコ�ス

ITmedia マーケティング新着記事

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...

news040.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。