ESXi攻撃に使われた脆弱性「CVE-2023-20867」の危険度は? ESXiArgsとの関係は犯罪者が狙う「ESXi」【後編】

VMware「ESXi」のセキュリティを脅かす、同社製品の脆弱性「CVE-2023-20867」。その危険性はどの程度なのか。ESXiを襲ったランサムウェア「ESXiArgs」との関係とは。

2023年08月31日 07時00分 公開
[Alexander CulafiTechTarget]

 セキュリティベンダーMandiantは、VMware製品に見つかった脆弱(ぜいじゃく)性「CVE-2023-20867」の悪用について警鐘を鳴らしている。Mandiantによると、中国政府が支援しているとみられるサイバー犯罪グループUNC3886は、CVE-2023-20867を悪用してVMwareのハイパーバイザー「ESXi」への攻撃を仕掛けている。

ESXiを襲ったあのランサムウェア「ESXiArgs」との関係は?

 ESXiに対する脅威と言えば、2023年2月に世界中で被害を広げたランサムウェア(身代金要求型マルウェア)「ESXiArgs」の存在が記憶に新しい。ESXiArgsを使った攻撃では、攻撃者は「CVE-2021-21974」「CVE-2020-3992」といったESXiの脆弱性を悪用したとみられる。Mandiantによると、VMwareの仮想マシン(VM)管理ツール群「VMware Tools」の脆弱性であるCVE-2023-20867は、CVE-2021-21974やCVE-2020-3992とは関係がない。

 Mandiantのセキュリティコンサルタント、アレックス・マルヴィ氏は米TechTarget編集部に対し、米国やアジア太平洋地域で10件ほど、CVE-2023-20867を悪用した攻撃を観察したと説明。標的は防衛やIT、通信といった分野の組織だったという。ただしマルヴィ氏によれば、CVE-2023-20867を悪用した攻撃が急速に広がる可能性は低い。

 CVE-2023-20867を悪用するためには、攻撃者は「root」「vpxuser」といったESXiの管理者権限を取得している必要がある。そのため「攻撃がすぐに広がるリスクは、あまりない」とマルヴィ氏はみる。ただし今後、CVE-2023-20867を悪用しやすくする攻撃ツールが公開されれば、攻撃が増える可能性があると同氏は指摘する。

関連キーワード

VMware | サイバー攻撃 | マルウェア


TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news061.png

高齢男性はレジ待ちが苦手、女性は待たないためにアプリを活用――アイリッジ調査
実店舗を持つ企業が「アプリでどのようなユーザー体験を提供すべきか」を考えるヒントが...

news193.jpg

IASがブランドセーフティーの計測を拡張 誤報に関するレポートを追加
IASは、ブランドセーフティーと適合性の計測ソリューションを拡張し、誤報とともに広告が...

news047.png

【Googleが公式見解を発表】中古ドメインを絶対に使ってはいけない理由とは?
Googleが中古ドメインの不正利用を禁止を公式に発表しました。その理由や今後の対応につ...