通信プロトコル「UDP」はなぜ「TCP」より危ないのか?UDPを使う攻撃と対抗法【前編】

動画や音声の送信に欠かせない通信プロトコル「UDP」はシンプルなことが特徴だが、だからこそ危ない仕組みだと言える。具体的には何が危ないのか。UDPを使った攻撃の手口を説明する。

2023年12月13日 05時00分 公開
[David JacobsTechTarget]

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サイバー攻撃 | セキュリティ | 脆弱性


 動画といった“重たいコンテンツ”の通信に利用できる通信プロトコル「UDP」(User Datagram Protocol)はシンプルな仕組みである半面、脆弱(ぜいじゃく)な部分があり攻撃を受けやすいと考えられる。UDPを使う攻撃の手口にはどのようなものがあるのか。

「UDP」はなぜ「TCP」より危ないのか?

 UDPは通信相手の状況を確認せず、「データを送信するだけ」の通信プロトコルだ。受信する側にデータが確実に届いたかどうかを把握するための機能がない。こうしたシンプルな仕組みのため、動画や音声などリアルタイム性が求められるコンテンツの送信に向いている。一方でデータが宛先に到着しているかどうかの確認ができないので、通信プロトコルとしての信頼性は「TCP」(Transmission Control Protocol)よりも低いと言える。

 TCPは通信相手から送られるデータに応答する前に、3段階で通信相手の状況を確認する。正しいものとして認識できないデータの着信は拒否する。そのため、TCPはUDPより安全だと考えられる。

 UDPを使う攻撃の一種に「ポートスキャン攻撃」がある。ポートスキャン攻撃では通信相手にデータを送信し、その返信を利用して通信相手のシステムについての情報を収集し、脆弱性を見つける。UDP自体に存在する脆弱性やプログラムの誤りを悪用する攻撃もある。他には、DoS(サービス拒否)攻撃やDDoS(分散型サービス拒否)攻撃によってUDPを正しく機能させない手口にも要注意だ。

 もう一つ、UDP攻撃の手口として「IPスプーフィング」が挙げられる。IPスプーフィングとは、送信元のIP(インターネットプロトコル)アドレスを偽装して通信を要求することだ。攻撃を受けたシステムはそのIPアドレスを不正なものとして認識できず、通信要求に応答する。攻撃者は大量のなりすましIPアドレスを使用する可能性がある。そのため、IPスプーフィング攻撃の防御は難しいと考えられる。


 後編は、UDP攻撃への対抗法を取り上げる。

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