生成AIをビジネスで活用する動きが今後さらに広がると考えられる。企業は生成AI活用に当たり、生成AIを導入することで得られる成果を見極めることが重要だ。考えるべきポイントを2つ解説する。
テキストや画像などを生成するAI(人工知能)技術「生成AI」(ジェネレーティブAI)をビジネスに活用する動きが盛んだ。生成AIの活用を検討する企業には、導入時だけでなく、導入によって得られる成果の見極めや組織体制の見直しなど、導入した“後”を見据えたアプローチが求められる。生成AIを活用してビジネスの成果を出したい企業が押さえるべきポイント7つのうち、2つを紹介する。
企業向けSaaS(Software as a Service)型AIベンダーSymphonyAIのCIO(最高情報責任者)ビル・ブラッグ氏は、「生成AIを導入しても、成果を出せなければただの技術的負債(先送り作業)になってしまう」と強調する。
例えば、企業がカスタマーサポートに生成AIを導入して人間の業務を減らせば、一見生成AI導入は成功したように見えるだろう。しかしブラッグ氏の主張によると、カスタマーサポート担当者の数を大幅に削減する段階まで進まなければ成功とは言えないという。「明確な削減効果を出さなければ業務最適化とは言えず、技術的負債を増やしたのと同じことだ」(同氏)。
生成AIが雇用市場を根本的に変え、雇用喪失を引き起こすのではないかという懸念が広がっている。Webメディア「Rest of World」は、2023年4月に中国のゲーム業界に関する記事を掲載した。この記事は、企業が生成AIを活用することで、実際にグラフィックデザイナーの雇用が減少している問題を取り上げた。
一方で楽観的な見方もある。「生成AIの登場でカスタマーサポートといった特定業務はなくなる可能性があるが、同時に新しい業務も生まれる」とブラッグ氏は話す。例えば、生成AIを監督して顧客体験改善を担う人材が今後必要になると見込まれている。カスタマーサポートの従業員は、これからは顧客応対の代わりに、蓄積したデータの管理や技術的改善を担うようになる。ブラッグ氏はこの変化を「作業者からAIトレーナーへの移行」と表現する。
後編は、企業が生成AIを使いこなすために必要な視点を解説する。
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