Googleが調査、「ゼロデイ攻撃」増加の背景に“あの商用ツール”ある調査で分かった脅威の実態【前編】

Googleによると、パッチが提供されていない脆弱性を悪用する「ゼロデイ攻撃」が、2023年に再び増加傾向に転じた。その背景には、“ある商用ツール”の存在がある。

2024年05月07日 07時00分 公開
[Alexander CulafiTechTarget]

関連キーワード

Google | サイバー攻撃 | スパイウェア


 Googleは、同社やAppleのデバイスやサービスを狙った「ゼロデイ攻撃」が再び盛んになっている状況を受けて、ユーザーに注意を呼び掛けている。ゼロデイ攻撃とは、パッチ(修正プログラム)が提供されていない脆弱(ぜいじゃく)性を悪用した攻撃だ。Googleの調査によれば、ゼロデイ攻撃が活発化する背景には”ある商用ツール“の存在がある。

Googleが警鐘を鳴らす“あの商用ツール”の存在

会員登録(無料)が必要です

 Googleのセキュリティ研究部隊Threat Analysis Group(TAG)と同社傘下セキュリティベンダーMandiantは2024年3月、2023年の攻撃活動についてまとめたレポート「We're All in this Together: A Year in Review of Zero-Days Exploited In-the-Wild in 2023」を発表した。それによると、2023年、未修正の脆弱性であるゼロデイ脆弱性を悪用した攻撃は97件だった。2022年の62件から大きく増えた。攻撃活動が活発だった2021年の106件に迫る勢いだった。

 TAGのセキュリティエンジニア、マディ・ストーン氏は、「2023年は攻撃者が再びゼロデイ脆弱性の悪用に重点を置いた年だった」と述べる。その背景には、2023年にあった以下の動きがある。

  • セキュリティ研究者やセキュリティベンダーがさまざまな脆弱性情報を公開した
  • ユーザー企業における攻撃の対象領域が広がった

 GoogleとMandiantが特に警鐘を鳴らすのは、NSO GroupやIntellexa Alliance、CY4GATEといったスパイウェアベンダーの動きだ。これらの企業はデバイスやアプリケーションの脆弱性を利用した「商用スパイウェア」を開発し、政府やサイバー犯罪集団などに販売。「危険なハッキングツールの拡散を可能にしている」と両者は指摘する。レポートによると、2023年の攻撃においてスパイウェアが使われた内訳は、以下の通り。

  • Googleのサービスやデバイス向け攻撃
    • 17件中13件(75%)がスパイウェア
  • AppleのOS「iOS」やWebブラウザ「Safari」向け攻撃
    • 20件中11件(55%)がスパイウェア

 ストーン氏によれば、スパイウェアベンダーは「攻撃者の一種」と見なすべきだ。「彼らの監視ツールがもたらしてきた被害については十分に立証されている。スパイウェアベンダーはITユーザーを脅かす存在だ」と同氏は強調する。


 後編は、GoogleとMandiantが注意を呼び掛ける、脆弱性の悪用法を紹介する。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

市場調査・トレンド ラピッドセブン・ジャパン株式会社

「検知と対応に関する調査」から見えてきた、各組織のサイバー脅威への取り組み

脅威の検知と迅速な対応は、セキュリティ戦略の中核をなす重要な機能だ。これを実現するために、多くの組織が自動化ツールやAIなどの技術を採用しているが、成果を挙げている組織もあれば、そうでない組織もあり、明暗が分かれている。

市場調査・トレンド ラピッドセブン・ジャパン株式会社

セキュリティ製品の乱立を解消し、ベンダーを統合すべき理由とは?

近年、多くの組織が多数のセキュリティ製品をパッチワーク的に導入している。その結果、運用が複雑化し、非効率な状況が生まれてしまった。このような状況を改善するためには、セキュリティベンダーを統合することが必要だ。

製品資料 フォーティネットジャパン合同会社

費用対効果の高いセキュリティ製品をどう見極める? 5つの組織の例に学ぶ

データセンターにおいて、NGFWやマルウェア対策といったセキュリティ製品の導入は不可欠だが、選定を誤ると非効率な運用プロセスや高いコストに悩まされることとなる。5つの組織の例から、費用対効果の高い製品を見極めるコツを探る。

製品レビュー サイオステクノロジー株式会社

マンガで分かる:クラウドシステムの障害対策でユーザーが考慮すべきポイント

ダウンタイムが許されない基幹系システムやデータベースをクラウドに展開している場合、システムの障害対策をベンダー任せにすることは危険だ。本資料では、その理由を解説するとともに、クラウドの障害対策を実施する方法を紹介する。

製品資料 Absolute Software株式会社

サイバーレジリエンスがなぜ今重要? 調査で知るエンドポイントの3大リスク

エンドポイントがサイバー攻撃の対象となるケースも増えている今、企業にはどのような対策が必要なのか。2024年に実施された調査の結果を基に、3つの重大なリスク要因と、その解決策としてサイバーレジリエンスが重要な理由を解説する。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。