「CASB」(Cloud Access Security Broker)は、クラウドサービスの普及とともに必要になったセキュリティツールだ。役割や機能など、CASBの基礎知識を押さえておこう。
クラウドサービスの普及とともに、クラウドサービス向けのさまざまなセキュリティ製品が登場している。その一つが「CASB」(Cloud Access Security Broker)だ。役割や機能など、CASBの基礎知識をおさらいしよう。
CASBは、エンドユーザーのデバイスからクラウドサービスへのアクセスを監視したり、制御したりする仕組みだ。ポリシーを設定して、安全と判断したクラウドサービスへのアクセスのみを許可することができる。これにより、情報漏えいといった被害のリスクを軽減できる。CASB導入に当たり、対象クラウドサービスのAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)を通じてCASBとクラウドサービスを連携させる必要がある。
クラウドサービスにアクセスするデバイスは、「管理対象デバイス」と「管理対象外デバイス」の2つに大別できる。
管理対象デバイスは、IT部門が管理するデバイスだ。各デバイスにCASBのエージェント(自律プログラム)を配布し、デバイスから発生する通信を監視する。CASBツールによって、エンドポイントセキュリティ製品との併用も可能だ。管理対象デバイスでは、通常「フォワードプロキシ」を使う。フォワードプロキシとは、クラウドサービスとユーザーの間に設置される仕組みで、通信を制御する。
管理対象外デバイスは、従業員の私用デバイス(スマートフォンやタブレット、PCなど)を指す。パートナー企業や請負業者が使用するデバイスも管理対象外デバイスに含まれることがある。管理対象外デバイスに対して、IT部門がCASBのエージェントを配布することは困難だ。
管理対象外デバイスの場合、CASBは「リバースプロキシ」を採用する。リバースプロキシは、管理対象外デバイスによるクラウド型アプリケーションへのセッション(接続)を終了させ、新しいセッションを作成。これにより、管理対象外デバイスから発生する通信を監視できるようにする。
CASBの仕組みは、クラウドサービスへのアクセスの監視だけで終わらない。クラウドサービスにおけるデータのやりとりを監視することもCASB に求められる。ファイルが転送された際に、「データ損失防止」(DLP)機能を動作させるといった具合だ。
大半の組織は、公式には30〜40個程度のクラウドサービスを使用しているとしても、実際には1000個以上のクラウドサービスへのアクセスが発生していることがある。そうした膨大な数のクラウドサービスとのやりとりを可視化し、管理する機能をどう実装するかがCASBにとっての課題の一つになる。
後編は、CASBの主な用途を紹介する。
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