「AI PCが売れない」のにPCベンダーが楽観的でいられる理由AI PCの今後の展望【後編】

PCの出荷台数が増加傾向にある中でも「AI PC」の販売が大きく伸びているとは言えない。だが今後は、ある時点からAI PCの販売が加速する可能性がある。

2025年02月11日 10時00分 公開
[Antone GonsalvesTechTarget]

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 人工知能(AI)技術関連のタスク処理に特化したプロセッサを搭載する「AI PC」はまだ市場に本格的に浸透しているとは言えない。ただしPCベンダーは今後の販売については楽観的な見方を示している。ある時点からAI PCの販売が加速する可能性があるからだ。

なぜPCベンダーは楽観的なのか

 Dell TechnologiesとHPの幹部は、2025年後半にはPCの売り上げが回復すると見込んでいる。その背景には、クライアントOS「Windows 10」のサポート終了がある。MicrosoftはWindows 10のサポート終了日を2025年10月に設定している。これに伴い「Windows 11」への移行が加速すると考えられる。「Windows 11への移行時にPCを買い替える際、企業は将来性を見据えてAI PCを選択する」というのが専門家の見方だ。一般的に、企業は3〜4年のサイクルでPCを買い替える。

 AI技術の進化に伴い、最終的にはAI PCの販売台数は伸びると調査会社IDCは見ている。「転換点が遅れるとしても、PCでAI処理を実行する『オンデバイスAI』が業界にプラスの影響をもたらすという見解は変わらない」とリース氏は述べている。

 コンサルティング企業J.Gold Associatesのプリンシパルアナリストを務めるジャック・ゴールド氏は、2025年後半から2026年にかけて、AI PCがPC市場の成長に大きく貢献すると予測している。新しい技術が登場してから企業が本格的に導入を進めるまでには、一定の時間がかかるのが通例だ。

 「企業が導入を決断するためには、明確な理由が必要だ」とゴールド氏は説明する。ソフトウェアメーカーが提供するAI機能は、企業全体のPCアップグレードを促すほどの魅力に欠けているという。

 価格がまだ高額であることも導入の障壁になっていると考えられる。企業はAI PCの価格が800〜1000ドル(大量購入時の一般的な価格帯)まで下がるのを待つとみられる。2025年1月に米ラスベガスで開催された電子機器の年次イベント「Consumer Electronics Show」(CES)では、半導体ベンダーのQualcomm TechnologiesがAIアプリケーション向けに開発したArmアーキテクチャのSoC(システムオンチップ)「Snapdragon X」シリーズを搭載した600ドルのPCを発表した。「どのような技術も、まずはハイエンド市場に登場し、やがて一般市場へと普及していくものだ」とゴールド氏は話す。

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