「VMwareユーザーの離脱」がさらに進む可能性も? 顧客の本音は2025年のVMwareはどうなる【後編】

BroadcomはVMware Cloud Foundation(VCF)の次期バージョンで、顧客がプライベートクラウド環境を構築しやすくする機能を複数追加すると発表している。だが、顧客の全てがこうした考え方に共感しているわけではない。

2025年02月12日 07時00分 公開
[Tim McCarthyTechTarget]

 Broadcomは2024年8月に開催したイベント「VMware Explore」で、プライベートクラウド構築用製品群「VMware Cloud Foundation」(VCF)の次期バージョン「VMware Cloud Foundation 9」(VCF 9)を発表した。BroadcomはVCF 9に、顧客がプライベートクラウドを利用しやすくするための複数の新機能の追加を計画している。

 だが、調査会社NAND Researchの創設者兼プリンシパルアナリスト、スティーブ・マクドウェル氏は、2025年にはさらに多くのユーザー企業がVMware製品から離脱すると見込んでいる。ユーザー企業の本音はどのようなものなのか。

プライベートクラウドに顧客は魅力を感じているのか?

 BroadcomはVMware買収後のライセンス体系の見直しなどの変更に伴う顧客の減少を予測しており、その対策として大手企業などの重要顧客に対する製品開発とマーケティングに注力してきた。

 「Broadcomは2024年後半に低価格バンドルの再構成と機能拡張を実施したが、新規顧客の獲得は困難だろう。Broadcomは以前のビジネスに戻るつもりはなく、2024年後半に方向を修正したが、基本的な戦略は変わっていない」とマクドウェル氏は分析する。

 ミネソタ州の州立大学群Minnesota State Colleges and Universitiesのエンタープライズシステムエンジニアであり、VMwareユーザーグループVMUG(VMware User Group)のバイスプレジデントであるマット・ヘルドスタッブ氏は、「VMware Exploreや地域会議での議論では、VMwareの将来についてVMUGメンバー間で意見が割れている」と明かす。「ユーザー企業の多くは、Broadcomが提唱するプライベートクラウドや、ソフトウェア定義データセンター(SDDC)の利用を望んでいるわけではない」と同氏は語る。

 VCF 9の動向を見守っているユーザー企業もある。VCF 9に組み込まれている技術を採用すれば、VMwareの掲げるプライベートクラウドやSDDCを実現できる可能性がある。「それまでは、単にライセンスキーが必要だからVCFを購入するだけだ」(ヘルドスタッブ氏)

 「BroadcomはVMUGと協力して、既存メンバー向けに個人利用版のVCFを提供している。2025年4月に予定しているイベント『VMUG Connect』にも積極的に参加する意向だ」とヘルドスタッブ氏は語る。これらの取り組みはVMware製品のユーザー企業をサポートするためのBroadcomによる前向きな変化の一環だ。

 だが、個人利用版のVCFが提供されるとしても、教育機関のような小規模ライセンス保有者は取り残される可能性がある。「VCFに良心的な学生割引があるが、恩恵を受けられない小規模なショップもあり、必要に応じて離脱の決定を下さなければならない」(ヘルドスタッブ氏)

 マクドウェル氏は以下のように締めくくる。「2024年以降、Broadcomとユーザー企業との関係は変わってしまった」。

 「レガシーアプリケーションはVMware製品をベースにしたインフラに存在し続けるだろう。BroadcomはVCFの料金を、多くのユーザー企業にとっての移行コストより少し安く設定している。だが、新規顧客を引き付けるほどの魅力にはなっていない」(マクドウェル氏)

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