NVIDIAはAI開発に関連する複数のサービスをCES 2025で発表した。AIエージェント開発に使えるツールなど、同社が新たに打ち出した内容を紹介する。
2025年1月、米ラスベガスで開催された電子機器の年次イベント「Consumer Electronics Show 2025」(CES)で、半導体ベンダーNVIDIAはAI(人工知能)関連の新サービスを複数発表した。AIモデルの開発手法や活用範囲の拡大につながることが期待される5つのサービスを紹介する。
Agentic AI Blueprintsは、開発者がカスタムAIエージェントを構築、展開できるようにするためのテンプレートだ。NVIDIAの設立者でCEOのジェンスン・ファン氏は、「NVIDIAのAI開発ツール群を次の段階へと進化させるもの」だと説明する。
Agentic AI Blueprintsは、NVIDIAが企業向けに提供するAI開発サービス群「NVIDIA AI Enterprise」から利用でき、以下のようなマイクロサービス(AI開発に使える独立した小規模サービス)と連携が可能だ。
調査会社Moor Insights & Strategyでアナリストを務めるパトリック・ムーアヘッド氏は、「Agentic AI Blueprintsは、NVIDIAのソフトウェアと連携しているため導入が容易だ」とした上で、「こうしたメリットは、IntelやAdvanced Micro Devices(AMD)といったNVIDIAの競合他社を不利にするものだ」と続ける。企業の大半は、技術を市場投入するまでのスピード感を重視しており、その代わりにNVIDIAのエコシステムにロックインされる状況も受け入れる傾向にあるという。
Agentic AI Blueprintsは、単なる言語モデルや生成モデルではなく、複数のタスクを同時に処理できるAIエージェントを開発するためのツールだ。従来、AIエージェントは特定タスクの実行に焦点を当ててきた。SalesforceのAIエージェントビルダー「Agentforce」がその一例で、特定の業務プロセス自動化に活用されてきた。しかし、企業は単にタスクを実行するAIモデルではなく、AIエージェントを組織し、管理し、監視できるツールを必要としている。
「Llama Nemotron」はMetaのLLM「Llama」をベースにしたオープンソースのLLMであり、以下3つのバージョンが存在する。
Llama Nemotronは、指示に従ってコーディング、チャット、計算などのエージェント型AIタスクを実行するNIMとして提供される。GPU「NVIDIA GeForce RTX」を搭載したAI PCやワークステーション向けに設計されている。
Llama Nemotronはオープンソースであるため、幅広いアプリケーションでAIエージェントの開発やデプロイ(配備)ができる。例えば、カスタマーサポートや不正検出、サプライチェーン管理(SCM)といった用途で活用可能だ。具体的な提供時期については未定となっている。
「Project R2X」は視覚機能を備えたPC向けのアバター。デスクトップアプリケーションの操作を支援したり、ビデオ会議のアシスタントを務めたりする他、文書の読み上げや要約も可能だ。
NVIDIAは「NVIDIA AI Blueprint」を通じたNIMの提供を発表した。NVIDIA AI Blueprintは、AIエージェントを構築するためのフレームワークだ。
例えばユーザーは、PDF文書からポッドキャストや画像を容易に生成することができる。テキストの理解にはAIベンダーMistral AIのLLM「Mistral Nemo 12B Instruct」を、テキストの読み上げには多言語スピーチおよび翻訳マイクロサービス「NVIDIA Riva」を使用している。NIMは2025年2月から利用可能となる見込みだ。
「NVIDIA Project Digits」は、個人向けを想定した小型のAIスーパーコンピュータであり、SoC(システムオンチップ)「NVIDIA GB10 Grace Blackwell Superchip」を搭載する。ユーザーはNVIDIA Project Digitsを用いてAIモデルの開発や推論に取り組み、それをクラウドサービスやデータセンターにデプロイできる。2025年5月に提供開始予定だ。
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