消費者を欺く「フェイクレビュー」はこれで消える? 米国で始まった規制の中身厳格化するフェイクレビュー規制【前編】

消費者をだます偽の商品レビュー「フェイクレビュー」を取り締まる米連邦取引委員会(FTC)の規則が発効した。具体的にどのような行為を禁止するのか。

2025年02月28日 06時00分 公開
[Alison RollerTechTarget]

 高評価の商品レビューを信じて買った商品が手元に届いてみると、レビュー内容とはかけ離れたものだった──。消費者を欺く偽の商品レビュー「フェイクレビュー」は、生成AI(AI:人工知能)などの技術進歩に伴い、見分けるのが困難になりつつある。

 そうした中、米連邦取引委員会(FTC)はフェイクレビューの対策に乗り出した。2024年8月、FTCはフェイクレビューを取り締まる規則「Final Rule Banning Fake Reviews and Testimonials」を発表。同年10月に発効した。どのようにフェイクレビューを規制するのか。

これでフェイクレビューは消える? FTCが取り締まる内容とは

 FTCの規則が禁止するのは、フェイクレビューに関する以下の項目だ。

  • フェイクレビューの作成、購入、拡散
    • AI技術を使って生成したレビューや、商品やサービスを使用した経験のない消費者が作成したレビュー、商品やサービスの品質を誇張したレビューを作成する行為。
    • フェイクレビューを作成、販売したり、フェイクレビューだと知りながらその情報を拡散したりする行為。
    • フェイクレビューか肯定的な内容かどうかにかかわらず、企業がレビューを購入したり、レビューを作成した消費者に報酬を提供したりする行為。
  • 企業関係者によるレビューの作成
    • 企業の管理職や役員、請負業者といった、その企業の財務に関与する人が、企業との関係を適切に開示せずにレビューを作成する行為。
    • 従業員が近親者や自社の従業員に同様の依頼する場合も、規制の対象になる。
  • 第三者を装ったレビューの作成
    • 自社に関係があるWebサイトの運営者や組織が、自社に関係がない第三者を装い、立場を適切に開示せずにレビューを提供する行為。
  • 否定的なレビューの抑制
    • 法的な根拠に基づかない脅迫や物理的な脅しによって、消費者の否定的なレビューを抑制する行為。
    • 肯定的なレビューだけを表示させるようにし、消費者を誘導する行為。
  • フォロワー数や「いいね数」の売買
    • botや乗っ取られたユーザーアカウントを使用して獲得したフォロワー数や「いいね」の件数、閲覧数など、レビューを左右する指標の売買。ただし「指標がフェイクであることを消費者が認識していた」または「注意を払えばフェイクであることを認識できた」場合のみ、規制対象となる。

 FTCの規則は、フェイクレビューの作成や否定的なレビューの抑制を禁止し、消費者を詐欺から保護するとともに、より透明性の高いオンライン市場の実現を目指している。


 次回は、フェイクレビューの見分け方を紹介する。

TechTarget.AIとは

TechTarget.AI編集部は生成AIなどのサービスを利用し、米国Informa TechTargetの記事を翻訳して国内向けにお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。