一般社員はPCのアイコンをダブルクリックすることによってITに接する。彼らは、使いたい製品またはサービスという形でITが反応することを期待しているのだ。成功するCIOは、ITサービスのプロバイダーではなく、プロダクトマネジャーなのだ。
「ITユーザーは、ITをデスクトップ上のアイコンだと思っている」──。ユーザーは、デスクトップアイコンをダブルクリックすることによってITに接しており、使いたい製品またはサービスという形でITが反応することを期待しているというのだ。この見方に従って、ニール・ニコライセン氏は「CIOは、プロダクトマネジャーなのだ」という考えに至り、製品管理の成功事例をITリーダーシップに生かすことに成功した。彼が実践した4つの戦略とは?
CIOとして成功するためには、ITサービスのプロバイダーではなく製品マネジャーとなる必要がある。
あの日の出来事は、まるで昨日のことのように覚えている。わたしがCIOとして最初の仕事を始めたばかりで、成功するぞと意気込んでいたときのことだった。そのころわたしは、CIOのダライ・ラマと呼ばれる「導師」の噂を耳にしていた。彼女は成功の秘策を知っているというのだ。わたしは、この神秘の人物を探し求めて幾多の山々を登り、そしてついに、彼女が助言を与えてくれるという洞窟を発見した。彼女の助手は、「あなたは3つだけ質問することができる」とわたしに告げた。
わたしは導師の前に進み出て、尋ねた――「CIOという職務に関して知っておくべき最も重要なことは何でしょうか?」
「忘れてはならないのは」と彼女は答えた。「ITユーザーにとって、あなたはデスクトップ上のアイコンにすぎないということです」
彼女の答えの意味が飲み込めなかった。「わたしがデスクトップアイコン、ですか?」
「その通り」
「本当ですか?」
「本当です」
混乱したわたしは尋ねた。「それはどういう意味でしょうか?」
「残念ですが、あなたはもう3つ質問をしました」――助手は言った。「お引き取りください」
もちろん、これは現実の出来事ではないが、わたしが経験したのは実質的にそれと同じことである。わたしが会ったのは、CIOとして大きな成功を収め、ビジョナリーとして有名な人物である。成功の秘けつについて尋ねたところ、彼女は「ITユーザーは、ITをデスクトップ上のアイコンだと思っている」と答えたのだ。彼女は、社内/社外のユーザーは、デスクトップアイコンをダブルクリックすることによってITに接しているのだと説明した。彼らは、使いたい製品またはサービスという形でITが反応することを期待しているのだという。
わたしはこのアドバイスについてじっくり考え、その意味を理解することができた。ITリーダーの役割については、技術製品/サービスをユーザーに提供するという見方が存在する。この見方に従えば、わたしはプロダクトマネジャーなのである(その意味では、商用ソフトウェアのプロダクトマネジャーや、その他の製品ラインのマネジャーと同じだ)。この模範的CIOのアドバイスに従うことにより、わたしは製品管理の成功事例をITリーダーシップに生かすことに成功した。その戦略とは以下のようなものだ。
顧客が必要とする技術製品を提供するのはわれわれである。製品管理という視点に立って彼らのニーズに対応すれば、成功する可能性が高くなるだろう。あなたは単なるデスクトップアイコンではなく、彼らのビジネスパートナーになるのだから。
本稿筆者のニール・ニコライセン氏は元CIOという経歴の持ち主で、現在はユタ州サウスジョーダンにあるエネルギー/建築製品会社ヘッドウォーターズで戦略プランニング担当副社長を務める。
(この記事は2005年11月8日に掲載されたものを翻訳しました。)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
サプライチェーンを脅かすリスクが増加する今、企業には被害を最小限に抑えるための対策が求められている。サプライチェーンが多層化し、どこかでトラブルが発生するだけで供給が止まる可能性もある中、どのような対策が必要なのか。
ハイブリッドクラウドの運用において、予期せぬコストやガバナンスの問題などに悩まされているIT担当者は少なくない。クラウド管理の課題を確認しながら、その解決策として期待される「ハイブリッドバイデザイン」のアプローチを紹介する。
企業が保有するデータの量が増大する中、データ保護の重要性がますます高まっている。多くの企業が採用するハイブリッドクラウド環境におけるデータ保護の課題を確認しながら、その解決策として期待されるソリューションを紹介する。
ビジネス拡大、競争力強化につながるITインフラ運用モデルとして、ハイブリッドクラウドが有効な解となっている。本資料では、オンプレミスのITインフラをクラウドのように利用できる製品の導入で成果を生んだ企業の事例を紹介する。
ITへの需要が高まり続ける中、IT組織はITリソースを拡張しながら、サステナビリティ目標も達成するという難しい使命を課せられている。この双方のバランスを取りながら競争力を向上できる、効果的な手段はあるのだろうか。
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。