Column
失敗を招いているのはプロジェクトマネジャー自身?
プロジェクト失敗の最大の要因をプロジェクトマネジャー自ら招いていることがある。そうした要因となる3つの主要なポイントを示す。
プロジェクトが失敗する理由には、IT部門独自のものがある。ときには、失敗の最大の要因がプロジェクトマネジャーが自ら災いを招いたせいである場合もある。
プロジェクトマネジャーには、こうした問題を解決する権限はあまりない。これらの要因を取り除くよう留意するのはCIOの役目だからだ。
こうした問題を解決しない限り、IT部門はこれからも自ら災いを招き続けることになるだろう。本記事では、そういった要因となる3つの主要なポイントを示す。
プロジェクトが失敗する理由には、IT部門独自のものもある。ときには、失敗の最大の要因が、プロジェクトマネジャーが自ら災いを招くせいである場合もある。以下に、そうした要因となる3つの主要なポイントを示す。
非現実的な見積もり
大半のプロジェクトマネジャーにとって、時間/コストのあまりに非現実的な見積もりを命じられることは、身の破滅につながる。ではなぜ、プロジェクトマネジャーはそうした命令に同意してしまうのだろう? 自分の仕事がアウトソーシングされるかもしれないという懸念が、「とりあえずは命令に従っておいて後で失敗する方がましだ」という考え方の土壌を形成してしまうのだ。
時間/コストを正確に見積もるためには、プロジェクトチームのスキルレベル、プロジェクトの割り当て、および作業環境に基づいて見積もりを出す必要がある。だが、何百件というプロジェクトの見積もりを分析した結果、プロジェクトマネジャーの多くはこうした要因を無視していることが明らかとなった。こうした要因を考慮して出した見積もりが、上司が望むよりも高くついてしまうのは確実だ。その結果、現実を反映させるよりも、上司が喜ぶような内容の見積もりが出されることになる。わたしはビジネスマネジャーに対し、プロジェクトマネジャーに100万ドルのプロジェクトを任せておきながら、なぜ彼らが出す現実的な見積もりを受け入れないのか、と尋ねることがよくある。
わたしはまだ、この質問に対する筋の通った答えを聞いたことがない。
チームのリソース不足
企業では、当初の予定よりも少ないリソースで多数のITプロジェクトが同時進行で進められることが珍しくない。これには、2つの大きな理由がある。一度に取り組むプロジェクトが多過ぎること、そして、予定より遅れているプロジェクトが多過ぎることだ。新規プロジェクトに必要となるリソースが十分にそろわないことが明らかであっても、企業は「プロジェクトチームの超過勤務による巻き返し」に期待して、とにかくそのプロジェクトを始動してしまう。
通常、リソースが10~20%程度不足しているプロジェクトの場合、製品のクオリティが落ちることになる。そして、テストやドキュメンテーション、プロトタイピングは当初の計画よりも少なくなる。さらに、リソースが20%以上足りないプロジェクトの場合には、プロジェクトのスケジュール、適用範囲、クオリティの実現が危うくなる。そして、IT部門が約束したはずのプロジェクトは実現されないまま終わることになってしまうだろう。
チームのスキル不足
最近読んだある雑誌の相談コーナーで、読者の1人がハイオクガソリン仕様車にレギュラーガソリンを使えるかどうかを尋ねていた。回答は「レギュラーガソリンを使えば、エンジンがオーバーヒートしてパワーダウンにつながるだろう」というものだった。プロジェクトで必要とされるスキルレベルに達していないプロジェクトチームにも、同じことが言える。チームのメンバーは疲れ果てて、プロジェクトはパワーダウンしてしまうだろう。
プロジェクト管理センター(Center for Project Management)が2005年に195社のIT企業を対象に実施した調査では、「プロジェクトチーム用に十分に計画された教育/トレーニングプログラムを用意している」と答えた企業は全体のわずか11%となっている。残る89%はOJTトレーニングに頼っているとのこと。基幹業務にかかわるプロジェクトの計画をレビューする際、わたしは常に、「プロジェクトチームのメンバーに対するトレーニングに必要となるタスク、リソース、予算、時間をプロジェクトプランに含めたかどうか」をプロジェクトマネジャーに尋ねることにしている。すると大概は、いぶかしげな顔をされる。プロジェクトチームのメンバーらが、そのプロジェクトの複雑さに見合う十分な知識を持ち合わせているかどうかを最後に確認したのはいつだろうか?
プロジェクトマネジャーには、こうした問題を解決する権限はあまりない。プロジェクトマネジャーがリソースやスキルの不十分なチームで妥協させられることのないよう、また、時間/コストの受け入れ難い見積もりに応じずに済むよう留意するのは、CIOの役目だ。こうした問題を解決しない限り、IT部門はこれからも自ら災いを招き続けることになるだろう。
本稿筆者のゴパル・K・カプール氏はカリフォルニア州サンラモンのプロジェクト管理センターの代表で、著書に『Project Management for Information, Technology, Business and Certification』がある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[o9ソリューションズ・ジャパン株式会社] 「改正物流効率化法対策」徹底解説 総物流費を抑制するサプライチェーン戦略 -
製品資料
[o9ソリューションズ・ジャパン株式会社] 「サプライチェーン最適化」実践ガイド:効果的な意思決定を実現する秘訣とは? -
製品資料
[株式会社リンプレス] 非デジタル/IT人材を「自走するDX推進者」に変えるための育成ロードマップ -
市場調査・トレンド
[ワンアイルコンサルティング株式会社] AI時代の組織設計:「判断と責任」を人に残すための2つの原則とは? -
技術文書・技術解説
[ワンアイルコンサルティング株式会社] システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「完璧な設計」なのに3000万円溶けた AWSの失敗事例から学ぶ3つの教訓
-
2
「AIバブル」は崩壊するのか? 熱狂の後に来る“尻拭い”と4つの防衛策
-
3
パナソニックが国内製造26拠点のERPを「SAP S/4HANA」に統一 アドオン7割削減
-
4
「企業におけるAI導入検討度とIT投資優先度」に関するアンケート
-
5
全社標準「Copilot」にダメ出し? 現場の8割が不満を抱く“致命的な欠点”
-
6
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
7
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
8
1200万円のSaaS導入を回避 スギ薬局「運用費10万円」のAIエージェント構築術
-
9
「コピペ運用の限界」に直面するAI活用 7割超が“別画面”のまま使う理由は?
-
10
高額GPUを買っても成果ゼロ? 「プライベートAI」の落とし穴
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
2
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
3
生成AIで文書活用を進めるには? 効率化と安全性をどう両立する
-
4
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
5
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
6
「Google Workspace」活用事例34選、先進の生成AIによる組織変革の全貌
-
7
「人員を増やす」という選択肢はない 情シスが負の連鎖から抜け出すには?
-
8
Linuxのスキルを証明する“激推し”の認定資格はこれだ
-
9
「問題が深刻化しやすいプロジェクト管理」から脱却する方法とは?
-
10
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー