検疫ネットワークの実際:アスキーソリューションズ編検疫ネットワーク再入門【第3回】

アスキーソリューションズでは、ハードウェアアプライアンスという形で検疫ネットワーク製品「iBricks」を発売している。PCと同じように企業内のネットワークに組み込むだけで、セグメント単位で検疫ネットワークを実現できる。

2006年09月26日 13時45分 公開
[TechTarget]

 検疫ネットワークと名の付く製品やサービスは、多くのメーカーから提供されている。「検疫」「隔離」「治療」といった基本的なプロセスは同じだが、その内容や構成は、ソフトウェアで提供されているものもあれば、ハードウェアで提供されているものもあるなどさまざまだ。そこで今回は、実際に提供されている製品やサービスについて、メーカーに直接話を聞いてみた。

 今回は、アスキーソリューションズの「iBricks」。ハードウェアアプライアンスである本製品は、MicroPCの筐体の中に検出、遮断、検疫の機能を装備している。企業ネットワークに組み込むだけで検疫ネットワークを構築できるため、導入の手間やコストを大幅に省くことができる。また、セグメント単位で導入できるため、小規模から大規模まで幅広い企業に対応する。

 ここでは本製品を開発した背景や製品の概要、実際に企業が導入する際のメリットなどを解説していく。

ハードウェアアプライアンスによる検疫ネットワーク

 アスキーソリューションズでは、2006年4月27日より検疫ネットワーク製品「iBricks」を発売している。同社では、セキュリティ、eビジネス、ビジネスツールのパッケージソフトの販売が大きな柱となっており、セキュリティ分野へ特に力を入れている。取り扱い製品はフィルタリングソフトをはじめ、多くの製品を販売しているが、ここ最近ではメールアプライアンスサーバなど、ハードウェアアプライアンス製品も扱っている。

「iBricks」は、富士通SSLと共同開発した検疫用ソフトを、アスキーソリューションズがハードウェアアプライアンス製品に仕上げたものだ。ハードウェアアプライアンスというスタイルを選んだのは、導入や管理コストを削減できるためだという。大規模なソリューションでは検疫サーバなどを導入する必要があり、企業のネットワーク全体を見直すことになりかねない。また、サーバに導入するタイプの検疫ソフトでは、インストールの手間やハードウェアスペックの統一、機器の相性問題などがあり、管理者のストレスになってしまう。

iBricksの正面

 しかし、アプライアンス製品であれば、製品をネットワークに組み込むだけで使用できる。「iBricks」は1台で252台までのPCを管理可能なため、導入企業はセグメント単位で手軽に検疫ネットワークを構築できる。また、ネットワークへの接続はLANインタフェースを採用しているため、PCと同じ感覚で行える。接続方法には、L3スイッチとL2スイッチの間に「iBricks」を組み込む「シリアル接続」と、L2スイッチ以下のPCと同じ階層に組み込む「パラレル接続」が用意されている。どちらもセグメント単位での導入が可能だが、管理するPCの台数が非常に多い場合は、パラレル接続にすることでトラフィックへの影響を解消できる。

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 検疫方法には、PCにエージェントをインストールする方法と、エージェントをインストールせずにActiveXで検疫する方法、双方とも使用しない遮断のみの方法がある。「iBricks」内にはWebサーバ機能もあるので、ここからエージェントをダウンロードしてネットワーク内のPCにインストールできる。遮断のみでは、「iBricks」が設置されているネットワーク内に新たなPCが接続された場合に、そのPCのセキュリティ状況をチェックし、あらかじめ設定されたセキュリティポリシーに合致していないときには接続を遮断できる。また、Winnyなどの「禁止ソフト」が起動した場合、その時点で接続を遮断することも可能だ。ソフトの起動はWindowsの「サービス」で検出するため、禁止ソフトを自由に設定できる。外部から接続されるPCだけでなく、セグメント内にあるすべてのPCのソフトウェア起動を監視できることも特徴となっている。

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