スタッフの連携効率がポイント
モバイル従業員のチーム意識を高める
仕事にチームワークは不可欠だ。会社から離れて1人で仕事をする従業員にチーム意識を持たせ、ほかの社員と円滑に連携させるための方策を紹介する。
前回のコラム「モバイル従業員に適した管理スタイルとは」では、モバイルワーカーを管理する上での基本的な考え方を紹介した。その中でわたしは、現在ではどのように仕事をするかが問題であり、どこで仕事をするかは重要なことではないと指摘した。最新の通信ネットワーク技術、サービス、製品により、きちんとした労働習慣を身に付けて適切なツールを活用すれば、どこにいても生産的に仕事ができるようになった。これによって、不動産に関連したコストを節約できるのは大きなメリットだ。しかしもちろん、スタッフが上司や同僚の近くにいない業務形態に合うように管理スタイルを修正する必要もある。
まず、従業員個人の勤務姿勢について検討してみよう。自宅にいても移動中でも自分はきちんと仕事ができると考え、そのことを上司に納得してもらったものの、決して生産的に仕事をしているとはいえない人をわたしはたくさん知っている。Webサーフィンをしたり、個人的な用事にかまけたり、コーヒーショップでのんびりしたり(もちろんノートPCを開いた状態で)、時折冷蔵庫の中をチェックしたりするというのも、本人にとっては大事なことなのだろうが、きちんと仕事をこなすには自律と自己管理が厳しく求められる。このため、最初にすべきことは、レベル設定に関して従業員と話し合うこと――「あなたの性格はモバイル勤務に向いているのか」「あなたはフォーマルなオフィスのような“縛り”を必要とするのか」といったことを確認するのだ。「正直に答えてもらいたい。どこで仕事をしようとも結果で判断されるのだから」とも付け加えた方がいいだろう。
企業というのは結局、チームのようなものだ。しかし従業員が会社から離れて1人で仕事をしているときには、チームの一員であるという実感はわきにくい。モバイル環境では、同僚との関係はリソースをベースとするものになる。伝統的な仕事環境では一般的な、場所をベースとする相互依存関係ではない。言い換えれば、何かが必要になったときには電子メールやインスタントメッセージング(IM)を通じて同僚に連絡するのであり、同僚のいる場所に赴くわけではないということだ。チームワークとは、協力を求める人がどこにいようと迅速に支援を受けられる関係と定義することができる。これは、広く分散したスタッフの連携効率と仲間意識を高めるためには、彼らが簡単に連絡を取り合えるようにする必要があることを意味する。
この目的に向けた最初のステップは、すべてのスタッフにチームの一員であるという意識を植え付けることだ。現場や外回りなどのモバイル勤務を行う新しいチームメンバーは、本社を訪れ、(場所的には離れていても)一緒に仕事をする人々に会い、顔見知りになる必要がある。電話の声や電子メールメッセージの背後に相手の顔と人柄を思い浮かべることができれば、チームはより効果的に機能する。また、定期的に(少なくとも四半期に一度は)丸1日の研修会や業務連絡会議(もちろん昼食付きで――食事を一緒にすることで人々の親密感は大いに高まる)を実施することをお勧めする。これは、よほどの大人数が集まるのでないかぎり、ホテルではなく本社で行うのが望ましい。こうした会合は、自社、製品、競争、業界などに関する最新情報を従業員に伝えるだけでなく、現場のスタッフと本社スタッフとの関係を緊密化するのにも役立つ。地元の人々を招待するのもいいだろう。従業員同士の交流のための自由時間もイベントに盛り込んでおくのを忘れないように。
要するに、互いに見知った者同士であれば、相手がどこにいようとチームとしてよりよく機能するということだ。毎日顔を合わせるわけではない相手を信頼できるというのは、大きな差別化につながる。
チームの連携に役立つ技術もある。まず、あなたの会社で利用する共有予定表/タスク管理/グループウェアソフトがモバイル機器に対応しているか確認すること。わたしがこの分野で特に関心を持っているのは、純粋にWebベースのアプローチだ。配備するのが容易であり、広範な携帯端末やノートPC上で動作するからだ。例えば、中小規模向けのツールを提供している37signals.comなどをチェックしていただきたい。テレプレゼンス(「ビデオカンファレンス 2.0」と言い換えてもいい)ツールも非常に有効であり、gotomeeting.comなどが提供する共有ワークスペースツールは、基本的に距離を忘れさせる。こういった技術を利用する際には、自社のポリシーおよび監視/コントロールシステムもそれに対応させることが肝要だ。特に重要なのは、すべてのモバイル機器およびネットワークアクセス/サービスに対する利用規定を定めることである。
次回は、高度に分散したチームを管理するためにわたしが用いたアプローチをもう少し詳しく説明したい。これは、わたしの管理手法のエッセンスとなる部分である。
本稿筆者のクレイグ・マシアス氏は、無線ネットワーキングとモバイルコンピューティングを専門とするコンサルティング会社Farpoint Groupの代表。同社は無線およびモバイル全般の支援サービスをメーカー、企業、キャリア、政府機関、金融サービス会社に提供している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
技術文書・技術解説
[Jamf Japan 合同会社] MDMだけでモバイルセキュリティは十分? 不足する対策を16項目でチェック -
製品資料
[株式会社ウェーブスプリッタ・ジャパン] 100Gbps対応の光トランシーバーはどう選ぶ? 10分で分かる選定のポイント -
製品資料
[株式会社フィックスターズ] 組み込み開発の生産性と機密性を両立、自社環境で構築する「セキュアAI」活用術 -
製品レビュー
[ServiceNow Japan合同会社] 問い合わせの約9割を自動で解決、AI主導の自律型CRMがもたらす業務変革の全貌 -
市場調査・トレンド
[ServiceNow Japan合同会社] AI活用が業務自動化で止まる理由は何か? 調査で判明した課題と変革への道筋
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
AI全部入り「Microsoft 365 E7」に企業が二の足を踏む訳 移行意向はわずか4%
-
2
なぜOpenAIやAnthropicのAIは「脱走」したのか 情シスが迫られるエージェント統制
-
3
【基本情報技術者試験】「デュプレックスシステム」と「デュアルシステム」の違いは?
-
4
GitHubが指摘 AIが書いた「おそらく動くコード」が招くシステム崩壊
-
5
Anthropicが明かす AIは入力データを「どこまで覚えているのか」
-
6
「高すぎるGPU」を捨てAI推論をCPUへ Armが示す電力とコストの現実解
-
7
「Microsoft一択」で本当にいいのか 知らぬ間にライセンス費用が膨らむ真相
-
8
MS月例パッチが1000件突破 人手不足の情シスを襲う「月1回メンテ」の崩壊
-
9
バイブコーディングの限界を突破するお役立ちOSSツール「Spec Kit」とは
-
10
「有線LAN環境」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
生成AIのハルシネーションを防止 回答精度を高めるセマンティックレイヤーとは
-
2
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
3
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
4
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
7
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
8
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
-
9
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
10
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー