営業部長と営業現場のリーダーたちとの会話を例に、企業内にたまり続けるデータを活用するためのBIの価値を解説する。
企業の現場の人々にとって、ITの中で最もなじみがないのが今回の連載テーマ「BI(Business Intelligence)」かもしれない。
ERPやSFAであれば、「業務システム」「営業支援システム」といったように、社内の比較的多くの人がイメージできるだろう。しかしこれがBIになった途端に、「BIって何だろう」「何のために必要なのだろう」と思う方が多いと思う。また、実際に社内にBIが導入されている場合でも、「BIを自分が使っているという認識がない」というケースも多いことだろう。さらに「BIは自分たちに関係のない世界」と思っている現場の人も多いかもしれない。
本連載では「部長のためのBI活用講座」と題して、具体的な事例を交えながら、できる限り分かりやすくBIを紹介していきたいと思う。
なぜ、BIは難しくとらえられているのだろうか。まずはそのネーミングに理由がある。Business Intelligenceを直訳すると「ビジネスの知性」となり、ますます意味不明になる。
一般的にBIとは「データを基に事実を可視化して、適切な意思決定や具体的なアクションを行うことにより、ビジネスに価値(売り上げ、生産性、企業価値)をもたらすこと」と定義される。つまり、BIはデータを基に事実を可視化するための道具であり、使われ方は業種や使う人の企業内での役割によって異なるため、一言で説明が難しいのかもしれない。
そして、BIが難しくとらえられている最大の理由は、上記の定義を自分の業務に照らし合わせて具体的にイメージできないことにほかならない。
企業内には非常に多くのデジタルデータが収集/保管され続けてる。これは企業内のさまざまな業務でシステム化が進んだためである。
例えば、小売業の店舗現場で既にPOSレジが常識になったように、営業現場でもSFAやCRM(顧客管理システム)が導入され始め、業務の中でより多くのデータがシステムに入力されるようになってきた。また、データを保管するハードウェアが非常に安価になってきたことも、長期にわたってデータが保管されるようになった大きな理由である。さらに、最近では内部統制強化のために、取引の原始(明細)データやシステムへのアクセス記録なども、企業として長期間の保管が必要となってきている。
これらのデータをただの「ゴミ」とするか、あるいは重要な「資産」とするのかは、そのデータをどうやって活用するかに懸かっている。
社長:先月の会議で目標達成は大丈夫だと言っていたじゃないか。
営業部長:ええ、各営業チームのリーダーが口をそろえて「今月こそは目標達成できそうです」と言っていたので、絶対に目標達成できるはずでした。
社長:今月は大丈夫かね?
営業部長:今月こそは絶対に大丈夫です。
社長:その根拠は?
営業部長:今月こそは、各営業チームリーダーは大丈夫だと……。
社長:それでは先月と同じじゃないのか? せっかく本年度、SFAを導入したというのに何をしているんだ!
営業部長:今回導入したSFAは、高価ではありましたが効果は十分に出ています。
社長:駄じゃれはいい! で、具体的にどのような効果が出ているんだ?
営業部長:営業担当者の行動や見込み案件がすべて入力されており、誰がどの案件を持っているのかがすぐに分かります。
社長:それでは、来月の見込み案件の件数と金額はどのくらいだ?
営業部長:私は使っていないので……。でも各営業チームのリーダーは大丈夫だと……。
社長:……。
誇張して表現したので、このような会話がそのまま繰り広げられている企業はないと思う。しかしこの会話は、データ活用ができていない企業の典型的な例といえる。社長におしかりを受けた営業部長。この後の営業会議での展開は予想できるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
広告や小売、観光振興、まちづくりなど、さまざまな領域で導入が進む「人流データ」。その活用でどのような施策が可能になり、どのような効果が期待できるのか。人流データ活用の6つのユースケースを紹介する。
人の動きを可視化した「人流データ」。屋外広告の効果測定や出店計画、まちづくりや観光振興など幅広い領域で活用されている。その特徴を確認しながら、価値のある分析・活用につなげるためのポイントを解説する。
多くの企業でデータ活用が模索されているが、データ処理の煩雑さや属人化が課題となっている企業は少なくない。そこで注目したいのが、データ分析ツールの活用で課題を一掃した「ゼンリンマーケティングソリューションズ」の取り組みだ。
複雑化を続けるITシステムの運用管理は、企業にとって大きな負担だ。そこで負担を軽減するものとして注目したいのが、クラウド上でさまざまな機能を利用できるマネージドサービスだ。本資料では、その詳細を解説する。
SAP ERPを活用して、事業部門のデータ作成/変更を行っているロクシタンでは、マスターデータ管理の煩雑さに伴う、処理時間の長さが課題となっていた。これを解消し、SAPデータの処理時間を4分の1に短縮した方法とは?
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...