今やITに不可欠となった「仮想化」。サーバなどを中心に導入が進むが、そのセキュリティ対策にまで実際は手が回っていない。そもそも「仮想環境のセキュリティ対策」とは何を指すのか、その実像を明らかにする。
最近はさまざまな場面において「仮想化」に関する情報が取り上げられている。企業における導入状況から考えても、既に仮想化ソリューションは実用段階に入ったといえるのではないだろうか。
「仮想環境におけるセキュリティ対策」の前編である今回は、特に取り上げられることが多いVMwareおよびMicrosoftの製品に焦点を絞り、仮想化環境の最近の傾向ならびに両社の製品の基本的な構造を述べた上で、セキュリティ対策の注意点について説明する。
2008年前半までは、仮想化ソリューションというと「VMware ESX」や「VMware Server」が注目され、多くの話題が取り上げられていた。これに対し米Microsoftは、2008年6月下旬からWindows Server 2008の一機能として「Windows Server 2008 Hyper-V」のリリースを開始し、7月上旬からはWindows Updateによる配信を始めた。実環境への導入はこれからでも、既に評価環境などでWindows Server 2008 Hyper-Vに触れているユーザーは多いと考えられる。
このHyper-Vのリリースが、2008年の仮想化ソリューションの市場に与えた影響は大きい。Hyper-Vのリリースが契機となり(少なくとも筆者はそうみている)、2008年7月22日(米国時間)に米VMwareがこれまで有償製品として提供していた「VMware ESXi」を無償で提供すると発表したのだ。有償製品であるVMware ESXと仮想マシン(後述)の仕様が同じであるVMware ESXiの無償化は、VMware ESXの購入を検討していたユーザーに少なからず影響を与えたと思われる。その後、今度は逆にMicrosoftが、これまで有償での提供を検討していた「Hyper-V Server 2008」を、2008年10月より無償で提供すると発表した。
企業内インフラにおいて十分に活用可能であるVMware ESXiとHyper-V Server 2008の無償化は、今後仮想化ソリューションのすそ野を一気に広げていくだろう。
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