2009年11月20日 08時00分 公開
特集/連載

デスクトップでオープンソースOSはWindowsに太刀打ちできるかWindows 7 vs. Linux

Microsoftが牙城としてきた企業向けデスクトップ市場で、Windows以外のOSが本格的にシェアを伸ばす可能性はあるだろうか。

[Bridget Botelho,TechTarget]

 英Canonicalが最近、オープンソースベースのソフトウェア「Ubuntu 9.10 Desktop Edition」をリリースしたことが、デスクトップLinuxがWindows 7に太刀打ちできるかどうか、そしてことによると、企業でWindows 7を駆逐して主流を占めることもあり得るのではないかという議論に再び火を付けた。

 しかし、Ubuntu 9.10 DesktopがWindows 7に真っ向から対抗できるほど出来が良いかどうかにかかわらず、問題は、Microsoftが牙城としてきたデスクトップ市場でWindows以外のOSが本格的にシェアを伸ばせるかどうかに帰着する。

 この最新版Ubuntu Desktopは、従来のバージョンに関するUbuntuユーザーのさまざまな小さな不満に応えたもので、ユーザー本位の改良が多数盛り込まれている。Canonicalは、「Ubuntu Desktopは10秒で起動するという目標の達成に近づいており、これはWindowsに対する競争力の向上につながるだろう」と述べている。起動時間の長さがWindowsに対するユーザーの大きな不満の1つだからだ。

 「Windows 7は、これまでの欠点に対処した優れたリリースだが、プロプライエタリでかなり高価なOSだ」と、Canonicalのマーク・シャトルワースCEOは語った。「デスクトップLinuxはどんどん良くなっているが、デスクトップWindowsはどんどん高価になっている。われわれは戦えると思う」

 Ubuntuはネットブック市場に着実に食い込んでおり、Windowsに不満なユーザーの受け皿になるかもしれないと、米ロードアイランド州のある宝飾品メーカーのシステム管理者、ロジャー・プラータ氏は語った。同社ではデスクトップでWindowsを、サーバでLinuxを使っている。

 Enterprise Management AssociatesのアナリストでUbuntuユーザーのマイケル・モンテシロ氏は、Ubuntu開発者はユーザー体験の向上に力を注いでおり、その結果「いずれは多くのWindowsユーザーがUbuntuに乗り換えるのは確かだ」と語った。

 モンテシロ氏は、インターネット経由で提供されるクラウド型アプリケーションの普及が進んでいることも、Ubuntuが支持を広げる上で追い風になるだろうと語った。こうしたアプリケーションは基本的にWebブラウザさえあれば利用でき、多数のOSに対応していることから、その普及拡大に伴い競争の構図が変わっていくことになる。「OSの競争上の差別化要因は、OSの上でどのアプリケーションが動くかではなく、OSがそれらのアプリケーションの実行をいかに効果的にサポートするかになる」

 ロードアイランド州プロビデンスのある大病院のIT担当者は、Webベースのアプリケーションやソフトウェアサービスの発展は、デスクトップOS市場の競争に大きな影響を与える可能性があると指摘した。「重要なIT要素がリモートWebサーバにより多く置かれ、それらにアクセスしやすくなればなるほど、われわれのPCでどのOSが動いているかは重要ではなくなる。ベンダーがアプリケーションをさまざまなWebブラウザに対応させている限りは」と同氏。「まさにこの考え方から、GoogleはChrome OSの開発に乗り出した」

デスクトップLinuxは依然不利

 こうした昨今の動向がOSに対する人々の見方を変える可能性はあるが、Windowsを利用する企業には、Windowsデスクトップを使い続けるもっともな理由がある。例えば、サードパーティーの開発者は、Windowsへの強い忠誠を保っている。Windowsはデスクトップ市場で90%以上のシェアを占めているからだ。「あるベンダーの何かの製品が必要な場合、少なくともそれをWindows上で動かす選択肢がある可能性はかなり高い。そして多くの場合、それが唯一の選択肢だ」と、前述の病院の匿名希望のIT担当者は語った。

 Windowsが圧倒的なシェアを持つことから、多くのベンダーは、自社ソフトウェアの他OS版をわざわざ開発しようとはしない。また、多くの企業はMicrosoft Officeに大きく依存している。このため、OpenOffice.orgなどMicrosoft Officeに代わる選択肢に移行し、ドキュメントの互換性の問題に対処させられるのは、彼らにとって望ましいことではない。

 企業のIT部門は、Windowsから無料のオープンソースOSに乗り換えても、コストは減らないであろうことを知っていると、ITコンサルティング会社Interphase Systemsのシニアテクニカルコンサルタント、ジム・アチャフ氏は語った。

 「企業はMicrosoftに支払うライセンス費用を省けるかもしれないが、それはあっさり帳消しになってしまう恐れがある。ユーザーやサポートスタッフのトレーニングコストや、新OSを習得している間の生産性の低下、旧OSで使っていたソフトウェアを新OS用にほぼ全面的に作り直すコストが発生するからだ」(アチャフ氏)

 また、IT担当者やエンドユーザーの多くは、LinuxではなくWindowsに精通している。企業での大規模運用については特にそうだ。「企業のほとんどのエンドユーザーは、何らかの形でWindowsとMicrosoft Officeを長年使ってきた。これらは彼らにとっておなじみの、安心して使えるソフトウェアだ」とアチャフ氏は語った。

 こうした中で、IT部門がリスクを冒してデスクトップOSを変更する理由があるだろうか。

 「わたしが企業の意思決定者だとして、仕事や、事によるとキャリアを危険にさらしてまで代替OSに移行しようとするだろうか。代替OSへの移行は、そもそもあまり自社のコスト削減につながらない。その上、移行が失敗したら、さらに大金を費やしてWindowsに移行し直す羽目になる」(アチャフ氏)

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