2008年10月30日にリリースされたUbuntu 8.10のサーバ版。新機能の搭載や既存機能の強化が行われているが、そのうち仮想化やセキュリティに関する幾つかの気になる機能をピックアップして検証してみた。
前編「デスクトップLinuxで名高いUbuntuの『サーバ版』を導入してみる」ではUbuntu 8.10 Server Editionの概要とセットアップを中心に解説したが、後編ではその特徴的な機能を幾つか紹介する。
その前に、カーネルについて簡単に触れておきたいと思う。Ubuntu 8.10 Server Editionでは、Linuxカーネル2.6.27が採用されている。このバージョンのLinuxカーネルには、ext4の遅延割り当て機能やネットワークデバイスの複数送信キュー対応などが新たに盛り込まれている。また、フラッシュメモリ用ファイルシステム「UBIFS」のサポート、ドライバ類の更新、各種バグフィックスなども行われている。
企業用途向けの各種機能を持つUbuntu 8.10 Server Editionだが、本稿ではそれらのうち、代表的な新機能として以下を紹介する。
OpenJDK、Tomcat、ClamAV、SpamAssassinは、それぞれの分野で最もよく利用されているオープンソースソフトウェアだ。OpenJDKはオープンソース版のJava開発環境、Tomcatはサーブレット/JSPを動作させるためのWebコンテナ、ClamAVはアンチウイルスソフトウェア、SpamAssassinはスパムメールのフィルタリング機能を提供するソフトウェアだ。
Ubuntu 8.10 Server Editionでは、これら代表的なサーバ用ソフトウェアのパッケージがmainリポジトリに収録されたことにより、簡単に導入・アップデートできるようになった。また、mainリポジトリは英カノニカル(Canonical)社によってメンテナンスされるため、比較的安心してこれらのソフトウェアを導入することができる。
仮想化環境でUbuntuを簡単に利用することができるvmbuilderコマンドがサポートされた。vmbuilderコマンドを使うと、XenやKVM(Kernel-based Virtual Machine)、VMware Server/Workstationといった代表的な仮想化ソフトウェア上で実行可能な仮想マシンを簡単に作成することができる。
また、仮想マシン上で実行するOSはUbuntu Server Editionだけではなく、「Ubuntu JeOS」を使用することも可能だ。Ubuntu JeOSとは、仮想化環境には必要のない機能をそぎ落とした、いわば仮想化環境に特化したUbuntuだ。必要最小限のドライバを組み込んだカーネルや基本的なソフトウェアのみで構成されており、必要となるメモリやHDDのリソースが通常のUbuntuよりも少なく済む。そのため、より多くの仮想マシンを実行することが可能となる。例えば、機能を特化した専用サーバを1台のハードウェア上で複数実行する場合などに威力を発揮するだろう。
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