データセンタービジネスに巻き起こる価格破壊とサービスの高度化クラウド時代のデータセンター

多くの企業にとって、ITインフラの運用管理の負荷軽減とコスト削減は重要な課題だ。あるデータセンター事業者の最近の動きを追いながら、データセンタービジネスに何が起こっているのかを探ってみた。

2010年03月02日 15時30分 公開
[唐沢正和,TechTargetジャパン]

低価格、高パフォーマンスの背景

 データセンターサービスについては、初めて利用を検討するユーザー企業もあれば、より効率的に低コストで運用できる事業者を探しているユーザー企業もあるだろう。いずれにせよ、ITインフラにかかわる負荷軽減とコスト削減はすぐにでも取り掛かりたい施策の1つだ。例えば、関係が深かったSIerに運用と保守も任せていたため割高なデータセンターを利用するしかなかったが、コスト削減のため新しい預け先を探しているユーザー企業の声を最近よく聞く。付き合いの長い1社にすべて預ける方が安心だしコストも安い、という考え方は必ずしも常識とはいえなくなっているのだ。

 一口にデータセンターといってもそのタイプはさまざまだ。充実したネットワーク設備を備える一方で、電源容量などファシリティ面で物足りなさを感じたり、堅固なセキュリティサービスを備えるなど設備面は充実しているが、郊外に設置されておりコストも高め、といった違いである。また、電源容量が豊富で価格も比較的安いがフルサポートに対応してもらえず、トータルコストは高くなる可能性が出てくるケースもある。

 価格とサービス内容の兼ね合いは、選択する側としては悩むところではある。また、価格やサービス内容は魅力的だが、トラブルの連続というのも困る。今回は、データセンターサービス事業者の代表例として、さくらインターネットに話を聞いてみることにした。

垂直統合型のデータセンターサービスとは

 「当社では、サーバ、データセンター、サービスまでをすべて自社で作り上げ、ユーザーの視点で常に一歩進んだサービスを提供することをマインドにデータセンター事業を展開している。国内のインターネットサービス事業者で、こうした垂直統合型のデータセンターサービスを提供できているのは、当社以外にはない」と話すのは、さくらインターネット社長の田中邦裕氏だ。

「自分たちが使いたいデータセンターを、というコンセプトで事業展開してきた」と語る田中氏

 さくらインターネットは、1996年にレンタルサーバ事業からスタートし、翌1997年にはデータセンターを構え、いち早く専用サーバサービスおよびハウジングサービス事業に着手。1999年には、当時郊外型が主流だったところに、都市型の自社データセンターを大阪・本町と東京・池袋に開設し、迅速なメンテナンス対応を実現している。

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