SMB向け業務パッケージ紹介【財務会計編】:弥生
HDD復旧も支援 “パッケージ外サポート”も注力する「弥生会計 10」の独自戦略とは
中小企業や個人事業主の事業の立ち上げと業務インフラとなるべく、20年以上もさまざまな業種・組織で使い続けられてきた「弥生シリーズ」。その中心的製品である「弥生会計 10」の独自の戦略とは何か。
20年以上の歴史を持つ会計ソフトの老舗
「弥生」といえば会計ソフトの代名詞として知られ、企業のみならず会計事務所でも広く活用されるなど、数多くのユーザーに活用されてきた。その歴史は古く、1983年に登場したDOS系PC用の会計ソフト「大番頭シリーズ」をルーツに、初代の弥生シリーズは1987年に発売されている。
開発元は、国内の独立系業務ソフトメーカーの日本マイコンとシステムハウスミルキーウェイ。その後2社は米国の会計ソフト最大手であるインテュイットと統合して日本法人となったが、2003年に分離独立して社名を弥生に変更。その翌年にライブドアグループ傘下となるも、2007年に再び独立し、現在は日本の業務ソフトで最多のユーザーを抱えるベンダーとなっている。
企業規模に応じた4つの製品体系
弥生がターゲットとする顧客層は、社員数20人以下の小規模企業と個人事業主を合わせた約366万社となっている。これは、約420万社ともいわれる日本の企業総数の87%を占める数だ。
2009年12月にバージョンアップした弥生会計 10は、経理の業務知識が少ない人や会計ソフトの初心者でも容易に使いこなせる各種の工夫を盛り込むとともに、企業規模に応じて4つの製品に再構成した。規模の大きい順から、社員20~50人程度の企業が社内のLANやWANでつないで3~20ユーザーで利用できる「弥生会計 10ネットワーク」、5~20人規模の部門別管理が必要な企業向けの「弥生会計 10プロフェッショナル」およびプロフェッショナル2ユーザー版、そして1~4人程度の、初めて会計ソフトを使う小規模企業および個人事業主向けの「弥生会計 10スタンダード」がある。
現在、弥生会計を利用するユーザーは、保守サポートユーザーが約16万社、登録ユーザーは累計で約80万社となっており、会計ソフトメーカー別の販売本数シェアでは51.6%(※1)と全体の半数を占める。また、弥生は全国の主要販売店2387店舗での実売統計でも2009年の年間最多販売ベンダーとなり、業務ソフト部門で11年連続の最優秀賞を獲得している(※2)。
※1:2009年3月1日~2009年3月31日の期間(GfK Japan提供のデータを基に弥生が独自に集計)。
※2:BCN調べ。
会計ソフト初心者にも優しい「スタンダード」
「弥生会計 10の中心は、やはりスタンダードとプロフェッショナルになる。弥生会計 10スタンダードは、従来のMicrosoft Excel(以下、Excel)を利用した手書き記帳から卒業し、専用ソフトを使って本格的に経理業務に取り組みたい企業向きの製品」と説明するのは、弥生のマーケティング部で製品戦略チーム マネジャーを務める立堀 隆氏だ。
同氏は、会計ソフト初心者の企業が最初につまずくのは「初期設定」であるとして、それを乗り越えるため、さまざまな業種特有のニーズを考慮して業種別の勘定科目をあらかじめ設定した「業種別勘定科目テンプレート」を無料でダウンロードできるようにしているという。
弥生会計の業種別のテンプレートは以前からユーザーに好評だったが、バージョン10ではより多くの業種特有のニーズに応えるためにサービス業をさらに細分化。既存の7業種(飲食業、不動産業、建設業、小売業、理容業、美容業、医療業)に加え、新たに4業種(IT・情報サービス、デザイン、生保・損保、運輸)を追加した。
また、取引入力を効率化する機能も豊富だ。経理の知識がなくても選択式の「簡単取引入力」によって取引の種類を選択し、その取引タイプから関連する取引名を選び、取引金額を入力するだけで仕訳作業が完了。集計表も決算書も簡単に作成できる。もし仕訳に悩んだら、「仕訳アドバイザー」がナビゲートしてくれる。勘定科目からの検索や複数のキーワードで適切な仕訳事例を検索し、仕訳作成ボタンを押すだけで事例通りの伝票を書き出せる。
立堀氏は、「一般的によく利用する取引であれば簡単取引入力で8、9割はカバーできる。イレギュラーな処理が発生しても、仕訳アドバイザーで答えがきっと見つかるはず」と自信を見せる。
経営分析やキャッシュフロー計画にも対応する「プロフェッショナル」
弥生会計 10は辞書機能も充実している。日常の入力で頻繁に使用する摘要例や仕訳例はあらかじめ組み込まれており、ユーザーが自由に登録することができる上に、帳簿入力でよく使う取引パターンを複数セットで登録できるなど、入力や登録の手間を大きく解消した。勘定科目や取引の多い会社でもサーチキーを使えば、ローマ字・片仮名・数字だけで勘定科目や補助科目の呼び出しが可能になっている。
また、特定の取引予定日や定期的な取引予定日を事前にスケジュール設定しておくことで、仕訳管理作業を効率化する機能もある。
一方、弥生会計 10プロフェッショナルは、複数の部門や拠点が存在するようになったことでそれぞれの損益を管理し、予算の計画を立てて実績を把握していきたい企業が、資金繰り管理や予算実績管理、部門別管理などを行い、経営状態の分析やキャッシュフロー計画もできるように機能強化されている。
「企業の成長に伴って部門や拠点が増えていけば、弥生会計 10のスタンダードからプロフェッショナルへ、さらにはプロフェッショナル2ユーザーへとアップグレードしていくことをお勧めしたい」(立堀氏)
中小企業の黒字倒産を回避する資金繰りシミュレーター
ユニークな機能も多い。その1つが「資金繰りシミュレーター」だ。キャッシュフローなどの資金繰りは、成長期にある小規模企業の最大のウイークポイントで、この先どのタイミングでどれくらいの資金が必要になるのか、きちんと把握しておかなければ、事業が好調でも黒字倒産などにつながりかねない。
資金繰りシミュレーターは、売掛金の回収や買掛金の支払い条件、毎月発生する固定費など定期的な入出金予定を登録することで、入力から60日後までの資金残高推移をグラフで可視化できる。直近の資金調達や回収に関して余裕をもった対応が可能になるのだ。
もう1つが、給与明細書の印刷機能。一覧形式の画面にその月の支払い額や所得税額、社会保険料、交通費などの金額を入力するだけで給与明細書を12人まで登録し、印刷することができる。給与明細の内容を仕訳に転記できるので、二重入力の必要もない。これまでExcelで給与計算を行い、給与計算ソフトを購入するまでもなかった企業からは、この機能は人気があるようだ。
業界最大クラスのカスタマーセンターがユーザーを支援
そして、弥生会計 10の最大の差別化戦略が「徹底サポート」である。ソフトウェアを超えて企業の業務までその範囲を広げていることに注目したい。
購入後は最大4カ月間の「無料導入サポート」が利用でき、業界最大クラスとなる130人体制のカスタマーセンターがヘルプデスクや入門セミナーなどユーザーが使えるようになるまで支援する。その間、法改正や新製品の発表が行われた場合は無償でバージョンアップに応じる上、通常の弥生会計の運用中に万一業務データが破損しても、再入力を代行するサービスもある。
中でも「弥生PAP(プロフェッショナルアドバイザープログラム)会計事務所サーチ」などは、弥生会計に精通した全国約3000カ所の会計事務所のネットワークの中から身近な会計事務所を検索することができ、税務申告だけでなく、PC会計の導入から起業支援、融資相談、事業計画などの相談に応じてもらえる(コンサルティング費用は別途)。
有償となるが、弥生認定インストラクターによる、使いこなすための弥生セミナーや、ネットワークサーバの設定から操作指導までを訪問指導するサービスも用意されている。
弥生を中小企業の業務のインフラに
注目は、年間保守契約の「あんしん保守サポート」(3万1500円から)だ。前述のサポートが1年間延長できる上、ヘルプデスクがユーザーと同じ画面を共有して問題解決を図るサービスや、弥生以外の他社ソフトウェア(WindowsやMicrosoft Office、筆まめ、ウイルスバスターなど)の操作サポート、追加機能のサービスパック提供などにも対応する。
さらに、弥生会計 10を運用するサーバやクライアントPCのHDDが何らかの原因でクラッシュした場合、HDD内の弥生フォルダを復旧するための費用を弥生が負担する保険サービスや、重要なデータを弥生ネットワークセンターに自動で保管するデータバックアップサービスも利用できる。
それだけではない。勘定科目や仕訳方法などを弥生カスタマーセンターのエキスパートが具体的にレクチャーするサービスや、各省庁へ提出する申請書やビジネス文書・契約書など1400種類以上の書式がダウンロードできるサービス、さらには同社が契約する外部の福利厚生施設をユーザーが利用できる「福利厚生サービス」も提供している。
「会計業務に携わる人ばかりではなく、中小企業の業務全般を支援していきたいと考えている。あんしん保守サポートはその一環」と説明する立堀氏は、業務を不安なく遂行するために必要なサービスを充実させ、弥生を中小企業の業務のインフラにしていきたいと話す。
会計ソフトがコモディティー化し、機能を差別化しづらくなっている中で、中小企業の不安や悩みを直接受け止めようとする弥生のポリシーに共感するユーザーは、今後さらに増えていくのではないだろうか。
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