データバックアップソフト注目のトレンド(前)
リモートバックアップを効率化するソースデデュープ
2010年のデータバックアップのトレンドを振り返り、今後の流れを予測する。今回は、デデュプリケーション(重複排除)技術を取り上げる。
2010年にデータバックアップソフト市場で最も注目されたトレンドは、ソースデデュプリケーション(重複排除)技術の本格的な普及と、仮想マシンバックアップの機能強化、そして伝統的なバックアッププロセスにおけるストレージスナップショット、リモートレプリケーション、継続的データ保護(CDP)の影響だった。
こうしたトレンドの背景には、事業に影響を及ぼさない一定のタイムフレームでバックアップを処理しなければならない企業IT部門の悩みと、データの爆発的な増加問題を何とか解決しようとする業界の取り組みがある。
「できるだけ多くのデータを蓄積したいとき、与えられた時間が限られているなら、それを迅速に処理する方法を見つけなければならない」と語るのは、マサチューセッツ州ミルフォードのEnterprise Strategy Group(ESG)の上級アナリスト、ローレン・ホワイトハウス氏だ。「バックアップのための小規模データ移動、高速ストリーミング、あるいは高速処理などの手法が決め手となるだろう」
データバックアップソフトにおけるデデュプリケーション
IifoProがフォーチュン1000にランクされる145社を対象に実施した調査によると、全体の46%が「データリダクション/デデュプリケーション」を既に利用していることが分かった。また、全体の6%が「同技術の評価、パイロット導入」を実施しており、さらに31%が「短期的または長期的な導入計画を持っている」という。デデュプリケーションの導入を検討していない企業は、わずか18%だった。
しかし、Gartnerのリサーチ担当副社長、デイブ・ラッセル氏によると、デデュプリケーションを採用している企業でも、現時点ではバックアップソフトベースの実装より、専用アプライアンスの導入を選択しているところが多いという。
「一部の企業は両方の技術を採用している。しかし、どの企業もそれらの導入は選択的だ。恐らく、ファイルはバックアップソフトウェアで、大規模データベースはアプライアンスで、といった具合だろう」とラッセル氏は言う。
ソースデデュプリケーションは、サーバにインストールしたエージェントを介してアプリケーションサーバの冗長データを削除する。ターゲットデデュプリケーションと比較して、プロセスのより早い段階で問題に対処する技術だ。最大のメリットは、システムから送信されるデータが少なくなり、ネットワークの負荷が減ること。一方、主なマイナス面は、処理プロセスのオーバーヘッドがアプリケーションサーバに掛かることである。
「この技術はかなり大きな革新だ。今やバックアップ技術の極めてポピュラーな機能になった」と語るのは、Forrester Researchのアナリスト、レイチェル・ダインズ氏だ。また、「ファイルシステムに絶大な影響を及ぼしたといえるだろう。今日、仮想環境において急速に普及しているのは、そこに膨大な冗長性が存在するからだ。WAN経由でバックアップを行う場合も、ソースサイドでデデュプリケーションを実行すれば、送信データを大幅に減らすことができる」と説明する。
ソースデデュープでリモートバックアップを効率化
AMB Propertyは現在、サンフランシスコ(メインサイト)、ラスベガス(災害復旧サイト)、ボストン、上海、東京、アムステルダムにあるデータセンターのバックアップの効率化に、ソースデデュープが有効であることを証明しつつある。同社は当初、WANを利用してサーバシステムをテープにバックアップしようと試みたが、安定的な成功率を実現できなかった。
あらゆる方策を試みた後、ITオペレーションチームは2010年、EMCの「Avamar」を実行するサーバグリッドを導入し、WANリンク経由で各サイトにエージェントをインストールした。ストレージ容量をベースにライセンスされるエージェントは、バックアップクライアント/アプリケーションサーバ上でデータをデデュプリケートする。
「最初のバックアップはそれなりに時間と労力を要したが、その後のバックアップは更新データのみであるため、極めて短時間で実行することが可能になった」と語るのは、AMBのネットワークオペレーション担当副社長、ジェイソン・レオン氏だ。
同氏によると、データストアのフルバックアップはそれまで8時間から12時間もかかった上、膨大な帯域幅を必要としていた。だが、現在は30分から1時間半で完了するという。データ量は8Tバイトから10Tバイトほどだが、デデュプリケーションを実行しなければ、恐らく30Tバイト以上ものデータを送信しなければならなかったはずだ。更新データのデイリーバックアップは、0.5Gバイト以下に収まることもある。
付随的なメリットとしては、追加したAvamarシステムにバックアップデータが複製されることだ。それによって、地理的に異なる2つの場所にデータが分散するのを防止できる、とレオン氏は指摘する。
AMBは現在、本部のデータセンターでAvamarのデデュプリケーションとともに、EMCの「Networker」および仮想テープライブラリ(VTL)を用いた従来型のバックアップも行っている。しかし、同社はVTLとテープから全面的に移行する方針だ。現在、バックエンドストレージおよびターゲットベースのデデュプリケーションのために、NetworkerからAvamarを利用できるようシステムを統合しつつある、とレオン氏は言う。
後編では、もう1つのトレンドとして「仮想マシンバックアップ」を紹介する。
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