主要な調査会社から発表されている2011年のセキュリティ市場予測やIT投資に関する調査結果から、気になるトピックを紹介する。
本稿では、IDC Japanが発表した2011年の国内セキュリティ市場予測およびアイ・ティー・アール(ITR)とガートナー ジャパンが発表した2011年の国内IT投資予測を基に、2011年の国内セキュリティ市場動向を探る。
IT専門調査会社のIDC Japanは2011年2月3日、国内のセキュリティ市場予測を発表した。同社が分析した2010年の国内情報セキュリティ市場動向から、ソフトウェア、アプライアンス、サービスの提供形態別に2010年~2014年の国内セキュリティ市場規模を予測している。
まず、2010年の国内セキュリティ市場を振り返ると、最も成長したのはSaaS(Software as a Service)、ASP提供型などのサービス市場で前年比6.0%増だった。要因は運用管理分野の好調によるものだという。次いで成長したのはソフトウェア市場で、市場規模は前年比2.7%増。アプライアンス市場は前年比マイナス2.8%となった。
2011年以降の予測については、まずソフトウェア市場がアンチウイルス、メールセキュリティで年間のライセンス売り上げが安定し、今後も同市場は堅調に推移するとしている。市場規模は、2011年が2043億円(前年比3.2%成長)、2014年が2244億円と、2009年~2014年の5年間で年間平均3.1%成長する予測だ。
アプライアンス市場は、新規製品導入の投資意欲が低迷しているようだが、景気回復期には回復率が高く、2011年の市場規模予測は318億円(前年比6.4%成長)。2009年~2014年の年間平均成長率は4.0%で、2014年には374億円の市場規模になる予測だ。
サービス市場は、大企業を中心にクラウド型のメールセキュリティ、Webセキュリティソリューションの利用が進んでいる。このことからIDC Japanでは、運用管理サービスのアウトソーシング需要を成長要因として、2011年の市場規模は前年比8.1%増の6683億円、2009年~2014年の年間平均成長率は8.5%で、2014年の市場規模は8776億円と予測した。
その他トピックとしては、急拡大が予測されるスマートフォン市場に向けて、セキュリティベンダー各社がアンチウイルス製品の月額課金などを開始している点が挙げられた。IDC Japanでは、2011年には出荷台数でスマートフォンがPCを抜くと予測しており、セキュリティ市場においても大きな需要が生まれるとしている。
ガートナー ジャパンは2011年2月2日、「国内企業のIT投資動向」を発表した。同発表によると、国内のIT投資は「サーバ仮想化、モバイル環境の整備」や「ここ数年投資を控えていたアプリケーションへの投資再開」などが主なトピックとして挙げられる。セキュリティに関しては、モバイル端末と共に検討される製品として需要拡大が期待されるという。
また国内のクラウド市場についても触れ、同社は「日本企業は興味はあるが導入が進んでいない」と分析。クラウドが今後国内で普及するためにはセキュリティ面の懸念払拭が鍵になると予測している。
アイ・ティー・アール(ITR)は2010年11月、国内企業446社から得たIT投資意欲に関するアンケート調査結果を発表した。
同調査によると、2010年度のIT予算が「増額した」と回答した企業は24.9%(20%以上の増加:7.2%、20%未満の増加:17.7%)。これは、2009年度調査比で8ポイント以上の上昇に当たる。一方、「減額した」とする企業は26.6%(20%以上の減少:4.9%、20%未満の減少:21.7%)と、2009年度調査から20ポイント近く減少した。同社ではこの結果から「投資意欲は着実に回復している。だが、依然として減額の企業の方が1.7%、やや上回ることから、以前のような成長路線に戻ったとまでは言い切れない」としている。
2011年度の増減見通し(調査を実施した2010年9月~10月時点)については、IT予算の増額を見込む企業の割合が29.3%で、2010年度実績より5.6%上昇した。中でも重視するIT分野については、主要な全20項目のうち2011年度は「IT基盤の統合・再構築」と「仮想化技術の導入」が上位2項目に挙げられた。「IT基盤の統合・再構築」については、72.1%の企業が2013年度までに実施を予定しているという(現在の実施率は22.3%)。また「仮想化技術の導入」は、現時点でも42.6%が導入しているにもかかわらず、重要度指数が前年の数値(2.9)を上回る3.2となっていることから、同社では仮想化は企業において不可欠な技術となりつつあると分析している。その他重要度指数が前年比で上昇しているものとしては「IFRSへの対応」などが挙げられた。
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