ガートナーは2010年度以降のIT市場予測を発表した。日本企業のIT投資は2010年度も減少傾向にあり、IT市場の本格回復は2013年度以降になる可能性が高いという。
ガートナー ジャパンは2月3日、日本のユーザー企業に対し2009年11月に行った「IT投資動向調査」の分析結果を発表した。同調査によると、企業のIT投資は2010年度も減少傾向にあり、2011〜2012年度に景気回復が本格化しても、日本におけるIT市場の本格回復は2013年度以降になる可能性が高いという。
同社は、2010年度のIT市場規模が前年度比で1.2%減少すると予測。近年注目を集めているクラウドの影響については、多くの企業がコスト削減で大きな期待をしているが、クラウドへの理解度が低いことから投資に至る企業は限定的という。また、情報セキュリティ対策やディザスタリカバリ対策でも期待はできず、企業の(新規・追加投資)ニーズは、2008年11月の前回調査時に比べ大きく減少している。ただし中長期的には、クラウド関連でセキュリティ対策へのニーズが増える可能性はあるという。
一方で、企業のサーバ仮想化に対するニーズは、2008年前回調査時から大きく増加。特に従業員2000人以上の大企業におけるニーズが高く、回答企業の45%が「2009年度から2010年度にかけて新規・追加投資する」と答えている。ガートナーは、サーバ仮想化はコスト削減が主目的であるため、積極投資につながる要因にはならないものの、仮想化ソフトウェアや周辺サービスへのニーズが増大すれば、一時的に市場規模を押し上げる可能性はあるとみている。
2011年度以降、大企業ではプライベートクラウド、全体ではSaaS(Software as a Service)へのニーズが高まる可能性はあるが、市場全体に大きな影響は出ないという。IT市場規模を大きく押し上げる要素は、景気回復期において業務コスト削減や売り上げ増加をもたらす業務アプリケーションと、それを安全・安定に動かすインフラだ。ガートナーによると、これらのニーズが増えなければIT市場規模も拡大することはないとしている。以上の分析から、日本のIT市場規模が2008年度の19兆8000億円(人件費含む)まで回復するのは、景気が安定する2014年度以降であるという。
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