「COTS」と「GOTS」を比較【後編】
「COTS」ではなく「GOTS」を選ぶメリットと、無視できないリスクとは
政府機関が抱える複雑で大規模なタスクに対処できる「COTS」ソフトウェアがないならば、「GOTS」ソフトウェアを独自開発するしか道はない。GOTSソフトウェアならではのメリットとデメリットとは。
政府機関の業務に既製品である「COTS」(商用オフザシェルフ:Commercial Off-The-Shelf)ソフトウェアを選択する場合、さまざまなメリットはあるが対処できないタスクも無数にある。例えば米国海軍が実戦で使うシミュレーションシステムをCOTSソフトウェアで代替してタスクを遂行することは難しいだろう。
政府機関が求める複雑で大規模なシステムと同等の機能を備えたCOTSソフトウェアは、ほとんど存在しない。そのため政府機関はそれぞれのプロセスと要件に適合する「GOTS」(政府機関オフザシェルフ:Government Off-The-Shelf)ソフトウェアを特注で開発しなければならない場合がある。独自開発したGOTSソフトウェアを他の政府機関が再利用または購入し、それぞれの要件に合わせてカスタマイズすることもある。
前編「『COTS』『GOTS』の基本的な違いとは? 政府機関のIT基礎用語」、中編「政府機関が『GOTS』から『COTS』に移るべき4つの長所、無視できない2つの短所」に続き、後編となる本稿は、GOTSソフトウェアならではのメリットとデメリットを解説する。
GOTSソフトウェアのメリットと“あのデメリット”
GOTSソフトウェアが開発されるのは通常、妥当なCOTSソフトウェアがないからだ。GOTSソフトウェアの総合的な品質と性能は、概して非常に評価が高い。特定の政府機関に固有の要件とインフラに適合するように一から設計して開発するからだ。
ただしGOTSソフトウェアの開発は、時間とコスト、ロードマップの点で重大なリスクも伴う。GOTSソフトウェアの開発プロジェクトは大規模で複雑になることが少なくない。委託先の開発チームが大規模で優秀だったとしても容易なことではない。委託先の開発者が政府機関の要件に精通していることが少ない点も考慮しなければならない。こうした事情から、GOTSソフトウェアを一から開発するには何年もかかる場合がある。
委託先には開発と導入、導入後サポートの全ての料金を支払うため、GOTSプロジェクトのコストは得てして高額になりやすい。COTSソフトウェアの開発費は大勢のユーザー組織で分散して負担できるのに対し、GOTSソフトウェアの費用は当該政府機関が単独で全て負担することになる。
GOTSソフトウェアのソースコードの保守もコストと時間を要する。COTSソフトウェアは競争優位性を高めるために頻繁にアップデートやアップグレードをする。GOTSソフトウェアは機能と相互運用性に制限があり、政府機関が必要とするときのみアップデートやアップグレードをすることになる。
場合によっては、委託開発契約で保守サポートの期限を定めていることがある。その契約期限が切れた後のGOTSソフトウェアの保守サポート作業に、最初の開発会社が入札するとは限らない。別の委託先を探して、ソースコードの解析や保守、アップグレードを依頼することになる可能性がある。
GOTSソフトウェアのロードマップは不安定だ。政府機関が使用しているインフラは、その政府機関専用である場合がある。そうしたインフラに変更を加えると、GOTSソフトウェアに重大な影響が及んでアップデートやアップグレードが必要となることもある。
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