米国防総省は、クラウドプロジェクト「JEDI」の契約先として、本命視されていたAWSではなく、Microsoftを選定した。その背景には何があったのか。
Microsoftは2019年10月、米国防総省(DoD)のクラウドプロジェクト「JEDI」(Joint Enterprise Defense Infrastructure)の契約を獲得した。Amazon Web Services(AWS)をのけて得たMicrosoftの受注は、クラウドベンダーの競争の分岐点として記憶される可能性がある。
JEDIは「米国内から米国外へとシームレスに拡張でき、可用性が高く、安全で、回復力に優れたクラウド環境」の構築を目指し、1社のベンダーと10年間の契約を結ぶことを計画している。JEDIの契約は、Amazon Web Servicesが獲得するというのが大方の予想だった。JEDIの構想は2017年9月に初めて発表され、AWSやIBM、Oracle、Google、Microsoftが受注にしのぎを削った。国防総省は2019年4月に契約先候補をAWSとMicrosoftに絞り込んだ。このプロセスを不服として、Oracleは米連邦裁判所に訴訟を起こしたが、連邦裁判所は2019年7月にその訴えをのけた。
AWSは、JEDI契約の獲得競争で優位に立っていると見られていた。同社はクラウドサービスの幅広さと深さに加え、政府機関との契約実績もある。AWSは数年前、CIA(米中央情報局)との6億ドルの契約を獲得した。この契約は、CIAのビッグデータ分析能力の向上に主眼を置いたものだった。一方でMicrosoftも、2018年5月に米国の複数の情報機関と、政府機関向けクラウド「Azure Government」の利用に関する数億ドル相当の契約を締結したと発表している。
JEDIの契約料は、全契約期間(10年)で最大100億ドル相当だ。ただし基本契約期間は2年間で、契約の保証金額は100万ドルにとどまると国防総省は明かす。この最初の2年間に支出される金額は約2億1000万ドルと見込まれる。契約の残りの部分については厳密な記録と評価が継続され、その結果に基づいて逐次決定される。
AWSからすぐにコメントを得ることはできなかったが、報道によると同社の広報担当者は、JEDI契約の結果に驚いたという。「AWSは、クラウド市場の明確なリーダーだ。比較対象サービスを細部にわたって純粋に評価すれば、明らかに異なる結論になる」。AWSは、こう述べたと報じられている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
契約業務の効率化やコストの削減といった効果が期待できることから、多くの企業で「電子署名」の導入が進んでいる。一方で、訴訟問題へと発展した際に証拠として使えるのかといった疑問を抱き、導入を踏みとどまるケースもあるようだ。
半導体ベンダーBroadcomは仮想化ベンダーVMwareを買収してから、VMware製品の永久ライセンスを廃止した。その永久ライセンスを継続する非公認の方法とは。
クラウドファーストの流れが加速する中、無計画に構築されたハイブリッドクラウドの弊害が多くの企業を悩ませている。ITオペレーションの最適化を図るためには、次世代のハイブリッドクラウドへのモダン化を進めることが有効だ。
ワークロードを最適な環境に配置できる手法として注目され、多くの企業が採用しているハイブリッドクラウド。しかし、パフォーマンス、法令順守、コストなどが課題となり、ハイブリッドクラウド環境の最適化を難しくしている。
システム基盤をオンプレミスで運用するか、データセンターやクラウドで運用するかは、業種によって大きく異なる。調査結果を基に、活用の実態を探るとともに、最適なクラウドサービスを考察する。
KDDIの通信品質と事業成長を支える“共通インフラデータ基盤”構築の舞台裏 (2025/3/12)
高まるSaaSバックアップ需要で「ストック収益」を拡大するには (2025/1/22)
大和総研に聞く、基幹システムのモダナイズ推進を成功に導いた四つのポイント (2024/12/23)
「オンプレミス仮想化基盤」のモダナイゼーションに最適なクラウド移行の進め方 (2024/11/11)
コストや効率の課題解消、ITとOTの統合運用管理を実現する理想的なインフラとは (2024/10/18)
お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...
Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...