乱立する決済サービスをまとめる製品も
NFC非搭載スマホでもタッチ決済が可能に インサーが決済用SDカードを開発
インサーはキャッシュレス決済製品群を発表した。NFC規格に準拠していないスマートフォンでタッチ決済を可能にする製品と、複数の決済カードを登録可能なスマートフォン向けアプリケーションの2つだ。
決済関連事業を手掛けるインサーは2019年1月、実店舗でのキャッシュレス決済を可能にするスマートフォン向けアプリケーションの「INCIR WALLET」と、決済用カードの「INCIR CARD」を発表した。2019年秋に販売を開始する。INCIR WALLETとINCIR CARDはコンシューマーが購入する製品だが、キャッシュレス決済を導入済みまたは導入検討中の企業にとっては、決済対象端末を増やす手段として活用できる。
タッチ決済用スマホアプリ「INCIR WALLET」
INCIR WALLETは、近距離無線通信の国際標準規格である、NFC通信を利用したタッチ決済を可能にするスマートフォン用アプリケーション。特徴は1つのアプリケーションで、複数の決済サービスを利用できることだ。ユーザーはNFCに準拠したクレジットカードや電子マネーカード、プリペイドカードといった、複数の決済カード情報をINCIR WALLETに登録してタッチ決済できる。決済はアプリケーションを起動して決済に使うカードを選択し、NFCリーダーにスマートフォンをかざすことで完了する。(写真1)
タッチ決済に必要なNFCに準拠しておらず、安全に決済するための半導体であるセキュアエレメントを搭載していないスマートフォンでも、INCIR WALLETと後述のINCIR CARDを組み合わせることでタッチ決済ができる。
カードの挿入でNFC非対応端末でも決済が可能
INCIR CARDはスマートフォンに差して使うSDカードの「INCIR SD CARD」と、通信機能があるプラスチックカードの「INCIR SMART CARD」、プリペイドカードの「INCIR SINGLE CARD」の3種類がある(写真2)。INCIR SD CARDはNFC-A規格に準拠したアンテナが入ったSDカードで、挿入することでNFC通信が利用できないスマートフォンでも決済ができるようになる。
「iPhone」などのSDカードスロットがないスマートフォンは、INCIR SMART CARDとBluetooth通信でペアリングしてタッチ決済できるようになる。インサーCOO(最高執行責任者)の富安和義氏は「NFC通信ができない端末が多いSIMロックフリースマートフォンのユーザーを中心に利用の拡大を狙う」と話す。
同社CEOの横地俊哉氏は、NFC(NFC-A/NFC-B)を使ったタッチ決済が世界で主流になりつつあるのに対し、日本ではFeliCaなど別の規格が広く使われていると指摘する。「海外からの旅行客が、『Apple Pay』などのNFCに準拠したタッチ決済サービスを使えない一方で、日本在住者が海外に行った場合に日本で使っていたタッチ決済方式が使えないといった問題が生じている」(横地氏)。同氏は2020年の東京五輪に向けて、NFC決済圏の拡大を見込む。
国内では「イオン」や「ダイエー」を擁するイオングループが2019年春に、VisaのクレジットカードとNFC通信を利用したタッチ決済を可能にするといった動きがある。インサーはINCIR WALLETとINCIR CARDの販売を通じて、こうした動きの拡大を後押しする考えだ。
Webと実店舗双方での決済サービスを展開
INCIR WALLETとINCIR CARDの価格は、いずれも現時点では未定。インサーは実店舗でのキャッシュレス決済に加え、オンライン決済の関連製品/サービスの拡充も図る。2019年5月には、動画や音楽といった各種コンテンツや、Eコマース(EC)の商品をオンライン決済で購入可能にする「INCIR HOME」を提供する。INCIR HOMEはHTML5をベースにしたWebアプリケーション。INCIR WALLETと連携するオンライン決済機能の「INCIR PAY」を備え、ユーザーはINCIR WALLETに登録している決済カードで決済できる。コンテンツ事業者やEC事業者はINCIR HOMEを活用した商品販売や広告配信が可能だ。
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