「待機合格者問題」の解消を目指して3つの新しいアクションプランを公表した。
金融庁は11月2日、公認会計士試験に合格しても監査法人などに就職できず、会計士資格を取得できない「待機合格者問題」の解消を目指して新しいアクションプランを公表した。今年度の公認会計士資格試験の合格発表は11月14日。新しい待機合格者が増えるともいえる中で、金融庁は地道な取り組みを続ける。
新しいアクションプランは3つの柱で構成する。
1.では、監査法人での業務補助以外で公認会計資格取得の要件となる、一般事業会社での実務経験の対象を広げる。現行では実務経験の対象会社として資本金5億円以上という規定があるが、これを撤廃し、資本金5億円未満の開示会社や開示会社の連結子会社(海外子会社を含む)も対象にする。また、現行では国・地方公共団体における実務経験の対象業務を、検査・監査事務に限っているが、これを財務分析に関する事務に拡大する。これらの内容を含む政令・内閣府令の改正は2012年4月を予定している。
さらに現行の一般事業会社での実務経験は正社員として雇用されることを前提にしているが、「正職員以外の雇用形態での実務経験が排除されないことの明確化」を行う。
2.については日本公認会計士協会が枠組みを整備する。定期採用が少ない中小監査法人を対象に、合格者の有期雇用や、業務委託契約の形での監査業務補助を行えるような環境整備をする。これによって採用が少ない中小監査法人でも合格者を採用しやすくなる。合格者は中小監査法人で監査業務の経験を積むことができる。
3.は経済界に対して合格者の採用を呼びかけるPR活動を行う。特に合格者の有期雇用が可能なことや、コンサルティング会社における財務分析でも資格取得が可能なことをWebサイトなどで訴える考え。日本公認会計士協会が立ち上げた公認会計士や合格者向けの求人情報サイト「キャリアナビ」では2010年の立ち上げ以来、450人以上の就職実績があるという。ただ、キャリアナビには依然として900人以上の登録者がいる。金融庁では、キャリアナビのさらなる活用推進を働きかける。
待機合格者の問題を巡っては、金融庁は当初、新資格「企業財務会計士」を作ることで解消を狙った。しかし、新資格を含む公認会計士法の改正案が今春の国会で廃案になった。新たな公認会計士法の改正案については白紙の状態。金融庁は今年度の公認会計士資格試験の合格者について1500〜2000人に抑えることを既に発表している。合格者数の抑制を続けながら、経済界や中小監査法人での合格者の採用拡大を支援する施策を打ち出していく考えだ。
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