IBMのビッグデータ戦略の中で重要な役割を担うNetezza。買収以前から一貫してアプライアンス形態で提供しているのには理由がある。
今日、データウェアハウス(DWH)の世界ではアプライアンス製品が高い注目を集めており、各ベンダーが次々新製品を市場に投入しているが、その先鞭をつけたのが2000年に米国マサチューセッツで創業されたNetezzaである。同社は創業当初から一貫してDWHに特化したアプライアンス製品作りを追求しており、2000年代半ばからはそれまで米テラデータの寡占状態にあったDWH市場において、一躍存在感を示すようになった。その後、大小さまざまなベンダーがDWHアプライアンスの開発に乗り出し、現在の活況へと至っている。
ちなみにNetezzaは、2010年11月にIBMに買収されている。しかしNetezzaの製品自体はIBMのポートフォリオに組み込まれた後も、それまでと全く変わらぬコンセプトを踏襲しつつ、さらなる機能強化が進められているという。
日本アイ・ビー・エム ソフトウェア事業 インフォメーション・マネジメント事業部 Netezzaエグゼクティブ 法華津 誠氏は、Netezzaが今日に至るまでひたすらアプライアンスという製品形態にこだわってきた理由を次のように述べる。
「アプライアンスとはもともと『家電』の意味を指す言葉だが、Netezza製品はまさに家電、例えてみれば冷蔵庫のようなもの。設置して電源を入れれば、冷蔵庫が中に格納した食品を冷やし始めるように、Netezzaも内部に格納したデータの活用をすぐに始められる。もちろん、実際には冷蔵庫ほどは簡単にはいかないかもしれないが、イメージとしてはこれにかなり近い」
ハードウェアとソフトウェアを個別に購入し、それらを組み合わせてDWHシステムを構築するには、通常はかなりの時間とコストを要する。これがアプライアンスであれば、必要なシステム要素があらかじめ全て組み合わされた形で提供されるため、最小限の手間で導入することができる。
またアプライアンスは、稼働開始後の運用管理の面でも一定のメリットがある。一般的なオンラインデータベースシステムで利用されるデータベースソフトウェアとサーバハードウェアは、DWHで頻繁に発生する全件検索などのワークロードに最適化されているわけではない。従って、パーティショニングやインデックスのメンテナンス、集約テーブルの追加といったチューニング作業がどうしても欠かせない。通常はこれに多くの運用工数が割かれることになるのだが、あらかじめDWHのワークロードを想定して一から設計されたアプライアンス製品なら、こうしたチューニングはほぼ不要になる。
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