2011年11月に実施した読者調査では企業で利用される電子帳票システムの実態が明らかになった。期待する効果と不満点から電子帳票システムが克服すべき次の課題を探る。
社内で大量に使われる紙書類を削減し、業務プロセスの電子化にも役立つとされる電子帳票システムが登場して久しい。当初はメインフレームやオフィスコンピュータなどで使われた電子帳票システムも、現在ではオープン系システムで稼働し、Webアプリケーションなどと連動することが多くなってきた。
このような電子帳票システムは現在、企業でどの程度使われていて、どのような課題や方向性が見えるのか。TechTargetジャパンでは2011年11月14日から11月27日にかけて、会員を対象に「電子帳票システムに関する読者調査」を行った。そこから見えてきたのは電子帳票システムの浸透と、次なる課題だ。本稿では、その調査結果の概要を紹介する(全ての結果を記載したリポートは文末のリンクから会員限定でダウンロード可能)。
目的:TechTargetジャパン会員の電子帳票システムの利用について調査するため
方法:Webによるアンケート
調査対象:TechTargetジャパン会員
調査期間:2011年11月14日〜11月27日
有効回答数:288件
※回答の比率(%)は小数点第2位を四捨五入し、小数点第1位まで表示しているため、比率の合計が100.0%にならない場合があります。
約66%と3分の2が既に電子帳票システムを使っていることが分かった。その中でも「全社規模で利用」が最多(32.5%)で、企業全体のインフラとして電子帳票システムが広く使われているようだ。
電子帳票システムの導入前に期待していた効果としては「紙書類の削減」と「業務の効率化」が74.4%で同率1位だった。それぞれ電子帳票システム導入で最もイメージしやすい効果といえる。一方で昨今の内部統制構築制度の整備などを受けてか、27.9%は「内部統制/コンプライアンス対応」に期待と答えている。「業務の透明性向上」(19.5%)、「情報漏えい対策」(7.9%)なども挙がっており、コンプライアンスやセキュリティ対応での導入も目立つ。
電子帳票システム導入前の期待に対して、実際に導入した後の満足度はどうなのか。読者調査では約半数の回答が「大変満足」「おおむね満足」と答えるなど、満足度の高さが目立った。「少し不満」「多いに不満」は合わせて約20%だった。
読者調査ではこの約20%の不満の内容も明らかにした。電子帳票システムを導入したものの、不満または期待はずれだった機能は「業務の効率化」が28.2%でトップだった。「業務の効率化」は電子帳票システム導入前に期待していた効果で1位だったが、導入後その期待に応えられていないことが分かる。電子帳票システムのベンダーは、紙書類の電子化だけにとどまらず、結果的に業務をどれだけ効率化できるかが問われているだろう。
電子帳票システムを今後導入する場合の選定ポイントとしてはコストが挙げられた。「運用管理のコスト」が21.3%で1位。「製品のライセンスコスト」が19.7%で2位だった。電子帳票システムは一度導入すると長期間使い続けるアプリケーションなだけに、利用期間にわたって負担する運用管理コストが注目されているといえるだろう。
また、運用管理の手間にも関係するが「帳票開発のしやすさ」も18.0%で3位に入っている。帳票開発は、システムインテグレーターなどのパートナー企業に依頼する、社内の情報システム部門が開発する、ユーザー部門が開発するなどのパターンがある。それぞれのパターンによって開発コストが変わるため、電子帳票システムの開発ツールを導入前に確認する必要があるだろう。
より詳細なアンケート結果は、以下からダウンロードできる(TechTargetジャパン会員限定)。本稿では紹介しきれなかった、電子帳票システム導入への障害や導入している製品名、満足している機能などを紹介している。ぜひ参照されたい。
【主なリポート内容】
調査概要、総括、回答者属性、電子帳票システムの利用規模、利用している電子帳票システムの機能、電子帳票システムに期待した効果、電子帳票システムの満足度、電子帳票システムで満足だった機能、電子帳票システムで不満、期待はずれだった機能、電子帳票システムを導入する際の障害、主に利用している電子帳票システム製品、電子帳票システム選定のポイント、電子帳票システムの選定期間、電子帳票システムに関する情報源、電子帳票システムの導入に必要な情報(計30ページ)
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