Windows 8には幾つのバージョンあるいは幾つのエディションが存在するのか。米Hewlett-Packard社内文書内の記述にヒントがある?
前編「不透明なWindows 8のPC版とARM版の互換性──アプリは作り直し?」では、PC版とARM版で生じるWindows 8の互換性問題と、ARMタブレット専用アプリ登場の可能性について紹介した。後編では、Microsoftが公言した「タブレット版に含まれない一部の管理機能」について検討し、さらに米Hewlett-Packardの社内文書に記述されたWindows 8の各種バージョンについて紹介する。
「Windows 8 Consumer Preview: A Product Guide for Businesses」と題された米Microsoftの最近の文書によると、「Windows 8のARM対応版には、32ビット版および64ビット版と同じ管理機能は含まれないが、企業は管理対象外の環境でこれらの省電力端末を利用できる」としている。
Microsoftはタブレット版で省略される機能を明らかにしていないが、Directions on Microsoftのアナリスト、マイケル・チェリー氏によると、省略されるのはGroup PolicyやActive Directoryなど、IT部門が社内で従業員のPCを管理するのに使用する機能ではないかという。
Microsoftの方針に驚いている人もいるようだ。「企業は従業員が携帯端末を利用できるようにしたいと思っている。しかしこれではWindows 8タブレットの管理機能はiPadとそれほど変わらないように思える」とチェリー氏は話す。
一方、NPD Groupのアナリスト、スティーブン・ベイカー氏は「従業員が他のタイプのARM搭載タブレット、つまりiPadを仕事で使うのを認めている企業は多いが、iPadの管理機能は特に問題視されていない」と指摘する。
「今日、相当な数のiPadが大企業で使われている。つまり大企業では、職場で従業員が職責に応じてさまざまな端末を利用するのを認めているということだ」とベイカー氏は話す。
上述のMicrosoftの文書は、同社がこれまでの伝統とは異なり、Windows 8のEnterpriseエディションを投入するのではないかという臆測をさらに拡大する形となった。
このうわさの発端となったのは、米CNETのブロガー、スティーブン・チャップマン氏が最近、米Hewlett-Packard(HP)のサポート文書で見つけた情報を公表したことだ。これは、Windows 8の3つのPC用バージョンとして汎用的な
に加え、
というバージョンに言及したもの。
この構成に欠落しているのがUltimateエディションだ。ベイカー氏の推測によると、Windows 8ではMicrosoftはUltimateをOEM専用製品にし、ハイエンドのPCに組み込まれた状態でコンシューマーや企業に提供されるようにするつもりではないかという。
またベイカー氏は、Windows 8のEnterpriseエディションが提供されるのは確実だと考えている。「Enterpriseエディションが出るのは間違いない。同バージョンには大きなニーズがある。また、Windows 8を大企業に進出させるには、異なる製品と異なる販売戦術が必要だ。Microsoftは大口顧客のニーズに対応するのが得意だ」とベイカー氏は話す。
一方、チェリー氏は、MicrosoftがWindows 8のEnterpriseエディションを提供するとは考えていない。同氏によると、HPなどのMicrosoftパートナーの社内文書を解釈するには注意が必要だという。
「メーカーはマシンを作っているだけだ。現時点では、彼らがWindows 8を具体的にどのように使おうとしているのかはっきりしない」とチェリー氏は指摘する。いずれにせよ、Microsoft自身がどんな製品エディション(SKU)を販売するのかについて最終決定をしていない可能性があるという。
同氏の予想では、Windows 8ではMicrosoftは引き続き、各企業のニーズに合わせてカスタマイズ可能なUltimateのようなエディションを提供する可能性が高いという。
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