制御システムも実機なしで追い込める。日立ソリューションズがHILS環境を丸ごと仮想化する製品を発売した。
日立ソリューションズは2012年4月9日、制御システムをソフトウェア上でシミュレーションする製品「Virtual HILSシステムパッケージ」を発売した。価格は630万円(税込み)。
自動車などの電子制御装置であるECU(Electronic Control Unit)の制御ソフトウェア開発では、精緻なタイミングを検証する必要があることから、通常は実機(ハードウェア)を使ったHILS(Hardware In the Loop Simulation)環境を構築してシミュレーションを行う。HILSとは、フィードバック制御システムのハードウェアシミュレーションのこと。コントローラーなどシステムの一部を実機で、モーターやインバータなどについてはハードウェアシミュレータで構成するのが一般的だ。シミュレータとはいえ、HILS環境の構築そのものにコストや時間がかかる。このため、短期で検証を進めたい場合でも実機環境を確保してからでないと工程を進められないという問題がある。また、実機の構成が確定しなければ検証できない点も、開発期間短縮のボトルネックとなっている。
同製品では、汎用シミュレーションソフトウェアを分散処理環境で実行する。標準では、SynopsysのCoMET/METeorに対応しており、同社では「ニーズがあれば随時他のシミュレータにも対応する」(同社広報)としている。
負荷分散の処理は自動的に最適化する。同社によるとHILS環境を実際に構築して検証する場合と比較して約25%、検証時間を短縮できるという(同社モデルケースでの検証、実装状況によって異なる)。あくまでもソフトウェア上での検証なので、最終的には実機での検証は必須だが、実機構成が確定する前の段階で品質を向上させ、開発工数の短縮を図るのに適している。
同社では、企業向けクラウドサービス「SecureOnline」も提供しており、同製品の検証環境として提供するサービスも展開するとしている。
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