2012年05月15日 09時00分 公開
特集/連載

エンドユーザーに嫌われないプライベートクラウド導入プライベートクラウド導入のベストプラクティス

プライベートクラウドの導入において、ハイパーバイザーやハード/ソフト、WANや帯域幅技術の適切な選択など、幾つか共通するベストプラクティスを紹介する。特に気を付けたいのは、エンドユーザーの評価だ。

[Bill Kleyman,TechTarget]

 クラウドコンピューティングの流行に乗るときが来た。だが、多くの組織にとって、それはIT環境と物理リソースの保守が不可欠であることを意味する。企業がデータセンターをパブリッククラウドに移行しようとしても、しばしば法令や規制がそれを阻む。そのためハードウェアをローカルで管理し、エンドユーザーアクセスインフラをリモートに置くプライベートクラウドが、次の論理的ステップとなるのだ。

 企業のIT環境は各企業に固有なものだが、プライベートクラウドプロジェクトをプランニングからプロダクションへ移すとき、ハイパーバイザーやハードウェア/ソフトウェア、さらにはWANや帯域幅技術の適切な選択など、幾つか共通するベストプラクティスがある。

ハイパーバイザーの選択とソフトウェアライセンシング

 クラウド技術は仮想化と密接な関係がある。クラウド導入の主な目的は、効率性と機敏性だ。最初に検討すべき技術はハイパーバイザーだが、この技術分野では3社の有力ベンダーがトップ争いを繰り広げている。米VMware米Citrix Systems、そして米Microsoftだ。これがベストといえるハイパーバイザーはない。各製品はほぼ同等の機能セットを持ち、どのハイパーバイザーを選択するのが最適であるかは、クラウドの導入目的による。

 ハイパーバイザーを選択するに当たっては、どのリソースをクラウドで提供するかを決めなければならない。この判断には、ライセンシングとソフトウェアに関する複雑な問題が絡んでくる。

 例えば、Microsoftをベンダーに選んだ場合、自社のユーザーベースに最も適したライセンシングモデルを決定する必要がある。場合によっては、エンタープライズライセンシング契約がベストなオプションになるかもしれない。最適なライセンシングレベルを選択できる経験豊富なクラウドパートナーと手を組もう。

 ハイパーバイザーが決定したら、次はプライベートクラウド構築に向けた幾つかの検討事項をチェックする。

  • アプリケーション仮想化ツール
  • サービス品質ソフトウェアツール
  • モニタリングソフトウェア
  • オペレーティングシステム(OS)
  • レプリケーションソフトウェア
  • その他のビジネス関連ソフトウェアスイーツ

コンテンツ配信方法

 ワークロード配信に関するトピックは、プライベートクラウド立案プロセスの初期段階で検討すべき重要な問題だ。クラウドベースのワークロードをエンドユーザーにどのように配信するか? その質問に対するITチームの回答は、エンドポイント側とプライベートクラウド側に置くハードウェアとソフトウェアの要求リストになる。

 エンドユーザーは、アプリケーションとデータにアクセスするためにプライベートクラウドに接続する。クラウド設計者は、クラウドユーザーへのアクセス提供戦略を構築しなければならない。例えば、エンドユーザーがXenDesktopにホストされたプライベートクラウドベースの仮想デスクトップにアクセスしているのであれば、メディアレイテンシはどのように調整するか? コンテンツのレンダリングはエンドユーザー側か、クラウドサーバ側か? レイテンシの閾値は?

 クラウド管理者は最適な配信方法を決定するとき、こうした質問に答えなければならない。プライベートクラウド導入で最も重要なのはユーザー体験だ。エンドユーザーの評価がプライベートクラウドの“成否”を決定する。

ハードウェアオプション

 クラウドは効率性が重視されるため、ハードウェアは効率性を念頭に選定しなければならない。スイッチング、ストレージ、モニタリング、ネットワーク配線など、堅牢なプライベートクラウドを構築するに当たって、これらは全て重要な役割を担う。

 ITチームがクラウド環境をプランニングするとき、ハードウェアに関する大きな問題の1つが、ブレードサーバにするか、ロックマウントサーバでいくかという選択だ。ベストアンサーは、何を実行するかによって決まる。クラウド環境は1つ1つユニークなものであるため、適切なハードウェアの選択は、アプリケーションとビジネスの要求に大きく関係する。クラウドマネジャーの中には、ブレードサーバ環境を好む向きもあれば、ラックマウントサーバがベストだと信じる人もいる。

 機敏性と迅速な拡張性を求める企業は、ブレードサーバを選択するだろう。1つのシャーシに最小のコンフィギュレーションで数台のブレードサーバを収容できるからだ。環境内のユーザーが増えれば、直ちにブレードサーバを追加することが可能だ。

 一方、エンドユーザー環境が拡大しないことがあらかじめ分かっていれば、ラックマウントサーバで問題ない。サーバを適宜拡張する必要がなく、長期間一定のサーバ数で対応できるためだ。

 ハードウェア関連では他にも、ストレージ容量、ネットワーキングコンフィギュレーション、ハードウェアモニタリングなど、プライベートクラウドを立ち上げる前に検討すべきことが幾つかある。

SANサイジング

 時間をかけてクラウド環境のニーズを把握しよう。その成果は後に現れる。プライベートクラウドを構築するときに問うべき質問には、以下のようなものがある。

  • システムに現時点でどれくらいのユーザーがアクセスするか
  • 1年後にユーザー数はどう変化するか
  • この先12カ月、どのようなタイプのアプリケーションやデータベースを利用するか

 適切なストレージサイシングは将来のストレージパフォーマンスのボトルネックを軽減する。

LANの検討課題

 プライベートクラウド環境には適切なLAN接続性が不可欠だ。ネットワーキングスピードとともに、Fibre ChannelとFiber Channel over Ethernet(FCoE)サポートをテストしよう。プライベートクラウド環境に10ギガビットイーサネット(GbE)インフラは必要か? たとえデータセンターに最高のサーバを導入していても、スイッチがトラフィックをハンドルできなければ、パフォーマンスに大きな問題が生じるだろう。

モニタリング

 いずれサードパーティーのハードウェアモニタリングツールを使って、プライベートクラウドのハイレベルなサービスを管理、保守するときがくるだろう。プライベートクラウドのモニタリングは、最適なパフォーマンスを維持するのに欠かせない。

WANと帯域幅技術。

 クラウドインフラの規模にもよるが、帯域幅には幾つかのオプションがある。帯域幅の要求をはっきりさせるために、どれほど多くのユーザーがクラウド環境にアクセスするか、どのようなリソースをクラウドに提供し、利用ピークはどういったものになるか(時間、使用率、アプリケーションニーズなど)を知らなければならない。さまざまな事例からみて、WAN接続にはMPLS、光回線、キャリアのイーサネットサービスなどが選択肢となる。

 これらのベストプラクティスに従えば、クラウド管理者は機敏なプライベートクラウドを設計、構築できるはずだ。どのようなものであれ、クラウドイニシアチブのゴールは、ビジネスの成長とITニーズに対応できる拡張性の高い堅牢な環境を作り出すことだ。

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