Hyper-Vでライブマイグレーションを成功させるには、幾つかのテクニックを必要とする。本稿では、Hyper-Vのライブマイグレーションの失敗でよくある原因を紹介する。
米MicrosoftのHyper-Vを業務環境で運用している企業の大多数は、ライブマイグレーションが不可欠な機能だと考えている。ライブマイグレーションの失敗が深刻な問題となる可能性もあり、こういった失敗は誤った構成が原因で起こることが多い。問題の発生を予防するには、Hyper-Vのライブマイグレーションの失敗でよくある原因を知る必要がある。
ライブマイグレーションの失敗で最も多い原因は、最も修正しやすい問題でもある。ホストサーバ間で仮想マシン(VM)のライブマイグレーションを行うには、VMを収容するのに十分なリソース(物理メモリなど)が移動先のホストになければならない。移動先のホストに十分な空き物理メモリ(あるいはその他の物理ハードウェアリソース)がなければ、ライブマイグレーションは失敗する。
この問題を解決するのは容易だ。十分なハードウェアリソースがある別のホストにVMのライブマイグレーションを実行するか、移動先ホスト上で動作しているVMの中で優先度の低いものを停止してスペースとリソースを解放すればいいのだ。
Hyper-Vでは、クラスタノードが同一のハードウェアで構成されている必要はない。しかしライブマイグレーションに対応するには、Hyper-Vクラスタ内の各ホストサーバが似通ったプロセッサを搭載していなければならない。すなわち、物理ホストの全てのプロセッサが同じプロセッサファミリーに属していなくてはならないのだ。言い換えれば、Intelプロセッサを搭載したホストからAMDプロセッサを搭載したホストにVMのライブマイグレーションを実行することはできないということだ。
似通ったCPUブランドを使用するだけでは不十分な場合もある。例えば、私は数週間前、6コアのAMDプロセッサで動作する数台の古いサーバを、8コアのAMDプロセッサを搭載した新しいサーバに交換しようと考えた。新しいサーバを既存のHyper-Vクラスタに含め、古いサーバから新しいサーバにVMのライブマイグレーションを行った上で、古いサーバを停止させるつもりだった。しかし残念なことに、旧サーバと新サーバのプロセッサの違いが大きかったため、ライブマイグレーションはうまくいかなかった。
ただしこのケースでは、VMをプロセッサ互換モードに設定することでライブマイグレーションを実行することができた。
プロセッサ互換モードは魔法のような解決策に思えるかもしれないが、問題もある。同じファミリーに属するプロセッサ間でのライブマイグレーションでしか有効でないのだ。IntelプロセッサとAMDプロセッサとのライブマイグレーションを可能にする目的には使えない。しかしこのモードを利用すれば、主要ベンダーあるいは主要ブランドの異なる世代のプロセッサ間でのライブマイグレーションが容易になる。
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