医療機関に勤務する会員を対象に実施したIT導入に関する調査リポート。電子カルテなどのIT導入状況、導入目的や期待する効果、関心のあるトレンドなどが明らかになった。
TechTargetジャパンは2013年10、11月に医療機関に従事する会員を対象に「医療機関のIT化に関する読者調査」を実施した。調査結果から医療機関のIT化の状況や導入済み・導入予定の製品、製品の満足度、関心のある医療ITトレンド、年間の運用コストなどが明らかになった。本稿では、その一部を紹介する(全ての結果を記載したリポートは、文末のリンクから会員限定でダウンロード可能)。
目的:医療機関におけるIT導入状況について調査するため
方法:Webによるアンケート
調査対象:TechTargetジャパン会員の医療機関従事者
調査期間:2013年10月15日(火)~11月30日(土)
総回答数:91件
※回答の比率(%)は小数点第2位を四捨五入し表示しているため、比率の合計が100.0%にならない場合があります。
導入しているシステムの種類を聞いたところ、全体の91.0%が「医事会計(レセコン)システム」を導入済みと回答。「院内ネットワークシステム」(84.1%)、「医用画像管理システム(PACS)」(83.0%)、「電子メール・グループウェア(掲示板・スケジュール管理)」(78.5%)が続く。
今後導入予定のシステムについては「地域医療連携システム」(39.8%)、「経営分析支援システム」(36.4%)、「電子カルテシステム」(28.5%)などが上位に挙がった。
また、最も導入・更新したいシステムとしては「電子カルテシステム」(25.3%)が多く挙がり、「地域医療連携システム」(9.9%)、「医用画像管理システム(PACS)」(7.7%)がと続いた。
IT化の目的や期待する効果については、「現場業務の効率化/省略化」(80.2%)が最も多かった。また、「情報伝達の迅速化/効率化」(63.7%)、「医療の安全性の強化」(62.6%)、「医療の質の向上」(60.4%)などが上位に挙がった。一般にIT化の目的として多く挙げられる「コスト削減」(37.4%)、「経営の効率化」(30.8%)などを上回っている。
一方、システム導入の課題を聞いたところ、「投資コストの負荷」(63.7%)が最も多く、「院内での理解不足」(40.7%)、「情報システム担当者の専門スキルの不足」(29.7%)と続く。
ITシステム全体の満足度を聞いたところ、「ある程度満足している」 (42.9%)が最も多く、「とても満足している」という回答はなかった。また、「どちらかというと不満がある」「不満がある」など、不満があるという割合は約2割となった。
システムへの不満理由を具体的に聞いたところ、「機能が不十分」「システムが使いにくい」(63.2%)が最も多かった。以下、「導入コストが高い」(52.6%)、「運用コストが高い」(42.1%)と続く。医療分野のIT化に関する意見(自由回答)の中には、「電子カルテは必要な機能を搭載しているが、使いやすいというレベルではない」という声もあった。
関心がある医療ITトレンドとしては、「医療クラウド」(47.3%)が最も多く、「サーバ仮想化/デスクトップ仮想化などの仮想化技術」(44.0%)、「地域医療連携システム」(41.8%)、「モバイル端末利用」(37.4%)が上位になった。
その他、「システム導入で重視するポイント」「システムに関する専門部署や担当者の状況」「システム全体の年間運用コスト」「スマートデバイスの利用状況」に関する調査も実施した。その詳細なアンケート結果は、以下からダウンロードできる(TechTargetジャパン会員限定)。本稿では紹介しきれなかったアンケート結果を紹介している。ぜひ参照されたい。
医療機関に従事する方を対象に「医療機関のIT導入に関するアンケート調査」を実施。本リポートでは、IT導入の現状や運用上の課題、選定ポイント、投資意欲などをまとめている。
調査結果リポートのダウンロードページへ (TechTargetジャパン) |
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