ロータスF1チームは集約型データセンターを構築し、プライベートクラウドを稼働させる。IT部門はデータ処理能力の向上とコスト削減によってマシン開発に貢献する。
ロータスF1チームは間もなく、2015年度のチャンピオンシップ優勝に向けたマシン開発に合わせて、集約型データセンターインフラの運用を開始する。
VMworld 2013 Europeにおいて、ロータスF1チームのIT/IS専門部長のマイケル・テイラー氏は、「F1はテクノロジーに関しては世界最先端のスポーツだ」と語り、ITは同チームを支える重要な要素だとする。
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ロータスはEMCと4年契約を結んでいて、EMCは2014年の開発パートナーになっている。「このパートナーシップの眼目は、チャンピオンシップに挑むに当たり、ロータスF1チームの既存のインフラを刷新することだ」と、テイラー氏は説明する。
「ITが関わる範囲は、設計、研究開発、エンジニアリング、トラックサイドの全てに及ぶ」といい、IT部門はチームの一員として全面的にチームを支援している。適切なデータを適切な人に適切なタイミングで届けることは、有効なビジネスアナリティクスの理念の1つだ。F1では、設計段階でもレース当日でもアナリティクスを活用している。
「F1は空力開発が全てだ。自チームと競争相手のパフォーマンスを評価する。サーキットごとに内容は違う」とテイラー氏は言う。
マシン開発では、複雑な流体力学シミュレーションデータ、マシンの60%の大きさのモデルを使って得た風洞データ、実際のサーキット上のデータを総合して考える必要がある。テイラー氏は、「60%の大きさのモデルを使った風洞データと、サーキットでの実際のパフォーマンスデータの2種類のデータを数式を使って処理し、その結果を取り込むことで優れたCFD(数値流体学)シミュレーションを実現し、絶えずマシンの改良を図っている」と説明する。
F1マシンはプロトタイプのたまもので、1シーズン中の改良は3万回に及ぶ場合がある。シーズン中、レースエンジニアは1万5000点もの図面を扱う。
データ処理に関しては大きな課題がある。それは、必ずしも単純にデータの量の問題ではなく、変更の多さ故でもある。「1時間のうちに100GバイトのCFDデータを生成することもある」といい、通常のグランプリのレースでは、50Gバイトものデータを収集することもある。
テイラー氏によると、トラックサイドのアナリティクスの意義は、ITによってレースエンジニアに競争上の優位性をもたらすことだという。「エンジニアにとっては、10分の1秒が違いを生む。例えば、ドライバーが1ラップ走るのに80秒かかり、1ラップのデータの処理に80秒かかる場合、0.1秒がピットインの判断に影響する可能性がある。タイミングによっては、ドライバーはもう1周回らないとピットインできないからだ。一連の処理時間が短縮されれば、(レース戦略を)改善できる」。そのため、IT部門はレースエンジニアと同じように、F1チームの一員となっている。
ロータスF1チームの現在のデータセンターは、マルチレイヤースイッチネットワークを使って構成されている。物理サーバと仮想サーバから成る1つのデータセンターで、手動で階層化したNASストレージを使用している。
同チームはこの6カ月間に、新しいデータセンターインフラとして拡張性とアジリティの高いプライベートクラウドを構築してきた。新しいインフラにプライベートクラウドを採用したのは、複数のアクティブなデータセンターを使って短時間でプロビジョニングを実現し、オンプレミスとクラウド間で負荷分散とデータ共有を行う必要があるためだ。
「EMCとのパートナーシップによって集約型インフラを構築したことで、ITのアーキテクチャはシンプルになった」(テイラー氏)
ロータスF1チームのプライベートクラウドは、VCEのvBlockを基盤とするポリシーベースの階層型ストレージを提供する。「ホットデータ(アクセス頻度の高いデータ)が適切な場所に保持されるように、ストレージを階層化している」と、テイラー氏は説明する。必要な場所に必要なときにデータにアクセスできるか否かが、レースの勝敗を分ける場合があるからだ。
ロータスF1チームは、VCE vBlockの他に、EMCのVNXストレージアレイとAtmosオブジェクトストレージ、VMwareの仮想化ソフトウェアも使用している。また、EMC VNXアレイをデータセンターに導入する予定だ。
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