Computer Weekly製品導入ガイド
従来型SaaS統合アプローチの限界と打開策
時間と予算の制約のため、多くの組織が統合戦略の再考と、バランスの取れたソリューションの模索を強いられている。
企業は、Software as a Service(SaaS)とオンプレミスアプリケーションをシームレスに連携させたいと考えている。複数のエンタープライズプロセスの自動化を伴うB2B統合のシナリオに対しても同じことを期待する。そうした条件は、サービス指向アーキテクチャ(SOA)やカスタムコードの開発、統合のアウトソーシングといった従来型の統合アプローチでも満たせるかもしれない。だが、そのようなアプローチに伴う支出や導入時間は、必ずしも多くの組織の予算やプロジェクト計画に見合っているとは限らない。
カスタムコード開発は、コードのメンテナンスとアップグレードのために高度なスキルを持った技術者をつなぎとめておく必要性があり、長期的には出費増大につながる。統合をアウトソーシングすれば、SaaSアプリケーションの総保有コスト(TCO)に加えて導入やプロジェクト管理、統合プロジェクトのメンテナンス関連の経費がかさむ。組織はそのような事態を避けたいと考える。そこで、従来型のSaaS統合に対するアプローチの限界を前に、統合戦略の再考を迫られている。
SOAは本当に事業価値をもたらさないのか?
SOAは従来型のアプローチの中で恐らく唯一、幅広い統合のニーズを満たすことができる。ただ、予算の確保はそれほど簡単ではない。事業部門の管理職はSOAをほとんど評価しておらず、SOA関連投資が事業価値をもたらすかどうか分からないという理由で協力に二の足を踏むと、IT責任者は不満を漏らす。
かつてSOAプロジェクトはIT部門主導で行われて社内の事業部門はあまり関与せず、時には期待通りの結果が出せないこともあった。必然的に、SOAは宣伝過剰のアーキテクチャであり、事業価値はあったとしてもごくわずかだという評判が広まった。
クラウドコンピューティング、特にSaaSの急速な普及により、企業のアプリケーションポートフォリオの混在性は一層増している。クラウドコンピューティングは情報の一層のサイロ化と、統合の複雑化につながりかねないという認識も広まった。英調査会社Ovumによれば、SOAの普及を促す最大の原動力は、オンプレミスとSaaSの統合や複数のエンタープライズプロセスの自動化を伴うB2B統合といった、複雑な統合ニーズに応えられる点にある。オンプレミスとSaaSアプリケーションの統合において、SOAが適しているのは以下のようなケースだ。
- オンプレミスサービス(クラウド接続型)と他のサービスを組み合わせて目標の機能を提供する
- 他のオンプレミスアプリケーションやSaaSアプリケーションでSaaS機能を利用する
SOAとSaaSの統合
SOAの導入には、ミドルウェア、ハードウェア、ネットワークのアップグレード、適切なセキュリティコンポーネント、モニタリングソフトなどの形で先行投資が必要な場合もある。導入段階ではレガシーアプリケーションに手を加える労力や、IT要員の研修関連コストなども発生する。サービスの再利用やIT部門のコスト削減といったSOAのメリットの大半は、すぐには実感できない。従って、導入は長期的な観点で考える必要がある。
クラウドコンピューティングの存在感が増したことで、SOA導入のチャンスは大きくなった。それは特に、事業部側の協力が得られずにSOAプロジェクトの打ち切りを余儀なくされた組織に当てはまる。そうした組織のIT責任者は、SOAベースのSOAP(Simple Object Access Protocol)やREST(REpresentation State Transfer) Webサービスとの統合は、SaaS統合に必要なオプションだと強調しなければならない。
だが、幅広い導入が必ずしも実現できるとは限らない。まだSOAを導入していない組織は、自社のSaaS関連投資をもっと有効活用するための手段を提供する、軽量オプションについて考える必要がある。ただ、特定の機能を提供する軽量オプションは、短期的な統合ニーズに間に合わせる役にしか立たないという認識は持つべきだ。
標準的なミドルウェアを使わない理由
オンプレミス型のミドルウェアはクラウドとクラウド、そしてクラウド内部の統合のニーズには適さない。組織内で統合ミドルウェアをホスティングする従来型のアプローチがうまくいくのは、オンプレミスとSaaSを統合する場合に限られる。これによってリモートAPIの呼び出しは容易になり、データセキュリティも強化される。
社内でホスティングされる統合ミドルウェアでは、データソースへのアクセスの柔軟性は低く、イベントの流れは見えにくくなる。また、効率的なメッセージング機能や待機機能も提供できない。組織はそうした限界を認識した上で、オンプレミスとSaaSの両方の統合のニーズに沿ったアプローチを選ぶ必要がある。
本稿はOvumの報告書「Exploring Different Approaches to SaaS Integration」(SaaS統合へのさまざまなアプローチ)より抜粋。Saurabh SharmaはOvumの上級アナリスト。
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