英国のHull and East Yorkshire病院NHSトラストは電子観察テクノロジーを導入し、臨床医がモバイルデバイスを使って患者の臨床観察を行えるようにしている。
Hull and East Yorkshire(HEY)病院NHSトラスト(訳注)はiOSデバイスと英Nervecentre Softwareのテクノロジーを利用して、ベッドサイドで患者の観察経過を記録している。
訳注:NHS(National Health Service)は、少額の自己負担あるいは無料で医療を受けることができる英国の国営医療サービス。サッチャー政権時に、医療機関は独立公営企業であるNHSトラストに再編された。
脈拍、血圧、体温などの臨床観察記録は1日中一定の間隔で行われ、医師や看護師はそこから早期警戒スコアを算出する。この早期警戒スコアにより、患者の容体が悪化しそうな時期を判断できる。
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以前、HEYトラストは全ての観察経過を紙に記録し、患者のベッドサイドでカルテに統計を記入していた。テクノロジーを利用して記録すれば観察経過をソフトウェアで収集できるため、紙を使うよりもリスクが減り効率が上がる。
「症状が悪く容体が悪化している患者を見つけ出し、臨床スタッフがタイムリーかつ効果的に対応できるよう、より優秀で効率的な方法が必要だった」と話すのは、HEYトラストで看護師長を務めるスティーブ・ジェソップ氏だ。
臨床医が電子システムを使用すれば、ベッドサイドでハンドヘルドデバイスに観察経過を記録できる。その後、システムで早期警戒スコアが算出され電子的に保存される。また、臨床スタッフが離れた場所から観察経過を確認できる。さらに、患者の健康状態についての警告をスタッフに自動的に伝えることができる。
ジェソップ氏によると、このシステムは、2016年または2017年までにペーパーレス環境を実現するというHEYトラストの目標の実現に貢献している。
またトラストは、電子デジタル記録全体を米CSCの「Lorenzo」システムへ置き換える途上にある。「これによって臨床情報システムが全面的に変わる。また、これはNervecentre Softwareのテクノロジーとリンクする要素の1つでもある」
Electronic Clinical Observation System(e-COBS:電子臨床観察システム)ソフトウェアは、iOS、米GoogleのAndroid、米MicrosoftのWindowsデバイスのアプリケーションから使用できる。
同氏によると、ユーザビリティが高く、画面上で情報が把握しやすいのでAppleのデバイスが選ばれたという。「IT部門も、AndroidではなくiOSのデバイスを好むだろう」
ベッドが30床あるHEYトラストには10台のデバイスがある。5台は看護師が使い、残りはドッキングステーションで充電する。
「デバイスにはサインインとサインアウトが必要で、使用後はドッキングステーションに戻される。デバイスを使う必要がある看護師はそれをポケットに入れておく」
HEYトラストはAppleのデバイスを好んでいて、iPod Touchとバーコードスキャナの併用を検討中だ。また、カルテや情報を見るために病室でiPadを使用することも考えている。
患者データのセキュリティを確保するため、ハンドヘルドデバイスに保存されている情報には、HEYトラストのデバイスやコンピュータからしかアクセスできない。
コンシューマーデバイスの使用について、HEYトラストはセキュリティの問題を懸念していないとジェソップ氏は言う。というのも、それらのデバイスを他の目的には使用しないからだ。
「どの組織でも共通の問題は、情報を紙に記録していることだ」と同氏は語る。
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