ネイティブアプリからサードパーティー製アプリまで
検証「Apple Watch」、仕事に役立つアプリはこれだ
「Apple Watch」が企業の中に持ち込まれるのは時間の問題であり、IT部門にとってこれは生産性向上のチャンスだ。Apple Watch対応アプリの第1陣を確認しておこう。
米Appleのスマートウオッチ「Apple Watch」が担うのは、少なくとも当初は「iPhone」の拡張デバイスとしての補完的な役割だ。だがApple Watchはいずれ、企業のモビリティを前進させる役割を果たすことになるだろう。
企業のIT部門や開発者は目下、この新たなコミュニケーションチャンネルを業務に活用するためのアプリを用意すべく注力している。Appleは「メール」や「メッセージ」といったiOSのネイティブアプリを最適化し、アプリが仕事の邪魔にならないよう修正を施した。Apple Watchは、リアルタイム処理や重要データへの迅速なアクセスを必要とするサードパーティーアプリの強化にもつながるはずだ。
生産性を最大限に高めることは、全ての企業の関心事だ。IT部門の態勢が整えば、Apple Watchは従業員のワークフローの合理化にも貢献できる。
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Apple Watchのネイティブアプリ
まずApple Watchに内蔵されるアプリから確認しよう。最初は恐らくこうしたアプリが一番役に立つだろう。
Apple Watchには20本のネイティブアプリが搭載されるが、その大半は既存のiOSアプリをベースにしている。新たに追加されるのは、「アクティビティ」「ワークアウト」「カメラリモート」などのアプリだ。「カメラリモート」アプリを使えば、Apple WatchがiPhoneカメラのファインダーになる。こうしたネイティブアプリには、企業にとって有用なものも幾つかある。
企業ユーザーが真っ先に活用することになるのは、「メッセージ」アプリだろう。このアプリには、ユーザーの触覚に働き掛ける「Taptic Engine」と呼ばれるシステムが搭載され、ユーザーの手首を軽くたたいてメッセージの受信を知らせるようになっている。手首を持ち上げると、メッセージが表示され、続けて返信を行える。腕を下げれば、表示は消える。本体側面のつまみ「Digital Crown」を回せば、返信メッセージを定型文の中から選んで送信したり、音声で入力したりできる。Digital Crownは、従来の機械式腕時計で時刻や日付合わせに使われてきた竜頭に相当する。
「メッセージ」アプリは、仕事中にメッセージを確認するための最も簡単な方法となるだろう。会話や会議を中断しなくても、手首にチラッと目をやるだけで重要なメッセージかどうかを確認できる。マウスとキーボードで両手がふさがっているような場合でも、手首に目をやるだけならスマートフォンに手を伸ばすほどには集中を削がれない。
業務に不可欠となるネイティブアプリがもう1つある。「メール」アプリだ。このアプリに対応する米MobileIronなどのエンタープライスモバイル管理(EMM)ツールを導入している企業であれば、業務用メッセージを従業員のスマートウオッチに直接送信できる。米Good Technologyや米Citrix Systemsなど、セキュアコンテナを採用しているEMMベンダーはスマートウオッチにメッセージを送信するためのアプリを新たに開発する必要があるが、そうしたアプリが提供されるのも時間の問題だ。
その他の内蔵アプリは一般ユーザーにとっては興味深いが、企業にとってはそれほど役に立つものではなさそうだ。ただし、業界にもよる。ソフトウェア開発キット「HealthKit」には、医療機関が患者の健康データを追跡したり、健康が重視される職場において従業員の健康状態をチェックしたりなど、大きな可能性がある。
サードパーティー製の企業向けApple Watchアプリ
既に市場には幾つか、サードパーティー製のApple Watchアプリが投入されている。今のところ、そうしたアプリの大半はiPhone向けモバイルアプリの機能を手首に拡張するためのものだ。
例えば、米Salesforce.comのApple Watchアプリ「Salesforce1 for Apple Watch」は、ビジネス上の決定や各種の通知に関するアラートを従業員にリアルタイムで送信できる。また業務データ分析ツールのApple Watch版「Salesforce Analytics Cloud for Apple Watch」を使えば、販売担当者はよりタイムリーに販売分析データにアクセスできる。
主要なソーシャルネットワーキングサービス(SNS)はいずれもApple Watchに対応しており、従業員は自身のFacebookやInstagram、Twitterのアカウントを素早くチェックできる。ただし、その結果SNSに費やされる時間が増えるか減るかは定かではない。
Apple Watchへの対応は、SNS以外の人気iOSアプリでも進んでいる。例えば、米ホテルチェーンStarwood Hotels and ResortsのApple Watchアプリを使えば、ホテルの予約、チェックイン、部屋の開錠などを全て手首で行える。出張の多い従業員には特に便利なアプリとなるだろう。米航空会社American Airlinesは、チェックインから手荷物受取まで搭乗の手続きを合理化するApple Watchアプリを開発している。
仕事でメモを取る必要がある場合は、「Evernote」アプリのApple Watch版を使えば、メモを口述で入力したり、リマインダーを設定したり、リスト項目にチェックを入れたり、検索を実行したりできる。Evernoteは公式ブログにおいて、「スマートウオッチ版アプリはスマートフォン版アプリに取って代わるものではなく、補完するものだ」と説明している。その他のサードパーティーベンダーも恐らく、大半はこうした考え方でApple Watch市場への参入を図ることになるだろう。
第1陣のアプリが出そろった後も、App StoreへのApple Watchアプリの登録は活発に進みそうだ。Appleはアプリ開発プラットフォーム「WatchKit」を公開し、開発者が既存のiOSアプリをApple Watchに対応させたり、Apple Watchの「グランス」と呼ばれる新機能(各アプリの最新の重要情報だけを素早く確認できる)を組み込んだ独自アプリを開発したりできるようにしている。
今後、企業によるApple Watchアプリの導入が進む中で、どのようなユースケースが生まれ、どのようなセキュリティの問題が持ち上がるのかは興味深いところだ。Apple Watchは社員証での入退館管理、Active Directoryなどのディレクトリ情報の表示、給与計算や勤怠管理、プロジェクトの進捗管理といった従来業務の改善にも役立つだろう。
この先、Apple Watchが企業で果たす役割は拡大の一途をたどるだろうが、生産性向上に熱心な企業であれば、今からApple Watchの検討を始めても早過ぎることはない。
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